公益認定の基準
本記事は書籍『公益法人設立ガイドブック』の一部を抜粋し、記事にしたものです。

公益認定基準(認定法第5条)

コウイチくんコウイチくん

公益認定基準は、公益認定法5条に規定されている【図表1】の21項目の基準をいいます。
行政庁は、公益認定申請を行った一般社団法人又は一般財団法人が公益認定基準に適合すると認める時は、その法人を公益認定するものとしています。

【図表1】
1 目的や事業に関するもの
(1) 法人の主たる目的 認定法5条1号
(2) 経理的基礎及び技術的能力 認定法5条2号
(3) 法人関係者への特別の利益供与 認定法5条3号
(4) 個人・団体等への特別の利益供与 認定法5条4号
(5) 公益法人としてふさわしくない事業等 認定法5条5号
(6) 公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれ 認定法5条7号
2 財務に関するもの
(1) 中期的収支均衡 認定法5条6号
(2) 公益目的事業比率 認定法5条8号
(3) 使途不特定財産額の保有制限 認定法5条9号
3 機関に関するもの
(1) 同一親族制限 認定法5条10号
(2) 同一団体制限 認定法5条11号
(3) 特別利害関係の排除 認定法5条12号
(4) 会計監査人の設置 認定法5条13号
(5) 役員等の報酬等の支給基準 認定法5条14号
(6) 外部理事 認定法5条15号
(7) 外部監事 認定法5条16号
(8) 社員の資格得喪に関する基準 認定法5条17号
4 財産に関するもの
(1) 株式等の保有制限 認定法5条18号
(2) 不可欠特定財産の維持及び処分制限 認定法5条19号
(3) 公益目的取得財産残額の贈与 認定法5条20号
(4) 残余財産の帰属先 認定法5条21号

1 目的や事業に関するもの

(1)法人の主たる目的(1号 )

公益法人は、公益目的事業を行うことを主たる目的とするものでなければなりません(認定法5条1号)。

一般法人は、多種多様な事業を自由に行うことができますが、公益認定を受けるためには、公益目的事業を安定的かつ継続的に実施するためにその利用可能な人的資源や経済的資源等を投下する意思及び能力等を有している必要があります。
そこで、公益目的事業を行うことを主たる目的とすることが、公益認定基準として設けられています。
公益目的事業とは【図表2】の23事業で不特定かつ多数の利益の増進に寄与するものをいいます。

公益認定申請時には、認定法5条8号の公益目的事業比率の見込みが50%以上であれば、公益目的事業を行うことを主たる目的とするものと判断します。

【図表2】
事業の種類 具体的例
1 学術及び科学技術の振興を目的とする事業
  • 学術的な調査や研究を行う活動
  • 科学技術に関する分野の研究助成
  • 生涯学習支援や健康に関する講習会
2 文化及び芸術の振興を目的とする事業
  • 能楽や雅楽などの伝統芸能の人材育成
  • オーケストラによる演奏会
  • 陶芸や美術などの展示会
3 障害者若しくは生活困窮者又は事故、災害若しくは犯罪による被害者の支援を目的とする事業
  • 障害者のスポーツ振興(スポーツ大会など)
  • 問題飲酒者の社会復帰支援
  • 犯罪被害者への相談活動
4 高齢者の福祉の増進を目的とする事業
  • 高齢者の健康増進活動(スポーツ大会など)
  • 認知症等に関する研修会
  • 市民後見人等の養成
5 勤労意欲のある者に対する就労の支援を目的とする事業
  • 技能資格を取得するための講習会
  • 職業訓練の実施
6 公衆衛生の向上を目的とする事業
  • 医療情報の相談
  • 清掃作業や食品衛生に関する研修会
7 児童又は青少年の健全な育成を目的とする事業
  • 少年補導団体への支援
  • 児童養護施設の支援
  • 奨学金の貸与や給付
  • 子供の自然体験活動
8 勤労者の福祉の向上を目的とする事業
  • 中小企業の勤労者の福利厚生事業
9 教育、スポーツ等を通じて国民の心身の健全な発達に寄与し、又は豊かな人間性を涵養することを目的とする事業
  • スポーツに関する競技会の開催
  • 競技の指導者養成
  • ジュニアスポーツ選手の育成
10 犯罪の防止又は治安の維持を目的とする事業
  • 防犯意識の普及活動
  • 犯罪予防活動
11 事故又は災害の防止を目的とする事業
  • 水難救助
  • 災害時の救援活動
  • 大気汚染のモニタリング
12 人種、性別その他の事由による不当な差別又は偏見の防止及び根絶を目的とする事業
  • 難民の支援活動
13 思想及び良心の自由、信教の自由又は表現の自由の尊重又は擁護を目的とする事業
  • 信教の自由に関する調査
  • マスコミやジャーナリズムに関する講演
14 男女共同参画社会の形成その他のより良い社会の形成の推進を目的とする事業
  • ジェンダー平等に関する活動
  • 在日外国人への支援
  • 非営利団体の支援
15 国際相互理解の促進及び開発途上にある海外の地域に対する経済協力を目的とする事業
  • 国際交流
  • 海外情勢の情報提供
  • 外国人への日本語教室
  • 技能実習生の受入・監理
16 地球環境の保全又は自然環境の保護及び整備を目的とする事業
  • 植樹活動
  • 公害に関する研修
  • 水質調査
17 国土の利用、整備又は保全を目的とする事業
  • 山林の維持管理や整備
18 国政の健全な運営の確保に資することを目的とする事業
  • 国内外の政策に関する調査
19 地域社会の健全な発展を目的とする事業
  • 地域の観光振興
  • 特産品の情報発信
  • 郷土史に関する研究会や学習会
  • コンベンション誘致活動
20 公正かつ自由な経済活動の機会の確保及び促進並びにその活性化による国民生活の安定向上を目的とする事業
  • 経済活動のための専門的知識の普及や人材育成
21 国民生活に不可欠な物資、エネルギー等の安定供給の確保を目的とする事業
  • 農薬に関する調査
  • 発電所の見学会
22 一般消費者の利益の擁護又は増進を目的とする事業
  • 消費生活に関する相談

(2)経理的基礎及び技術的能力(2号 )

公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎及び技術的能力を有するものでなければなりません(認定法5条2号)。

経理的基礎

公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎とは、次の3点をいいます(ガイドライン第3章第1(2)1)。

〔1〕財政基盤の明確化
〔2〕経理処理・財産管理の適正性
〔3〕情報開示の適正性

〔1〕財政基盤の明確化
公益法人が、安定的かつ継続的に公益目的事業を行うため、公益目的事業の性格や内容、法人の事業計画等に応じ、適切に財政基盤が確保されていることが求められています。

公益認定申請時に、行政庁は次の点で財政基盤の明確化を確認します。

貸借対照表、収支(損益)予算書等により、財務状態を確認し、法人の事業規模を踏まえ、必要に応じて今後の財務の見通しについて追加的な説明が求められます。
公益認定後に事業内容を抜本的に変更することになる法人にあっては、事業内容を変更した後の財務状態が分かる資料の添付が求められます。
経理的基礎を有することを明らかにする書類として、寄附金収入については、寄附金の大口拠出上位5者の見込み、会費収入については積算の根拠(会費について定める定款の条項、細則)、借入の予定があればその計画について、情報を求め、法人の規模に見合った事業実施のための収入が適切に見積もられているか確認します。

行政庁は、奨学金に係る事業など確実な実施が必要な事業にあっては、最低限の財源が見込まれるかを確認することとし、必要に応じ、寄附等が確実に実施されることを示す文書(寄附を約束する文書等)の提出を求めるものとしています。

また、行政庁は、必要に応じ、認定に当たり、事業内容に応じた財政基盤を速やかに確保しなければならない旨を法人に示すとともに、その確保(寄附の受領等)が認定後速やかに(例えば3か月以内)に行われない場合には、公益認定を取り消すことができる事由に(認定法29条2項)に該当するものとして、直ちに公益認定法に基づく勧告等の措置を講ずるものとしています。

なお、寄附の意思及び能力ともに無いことが明白であるなど寄附等の確実な履行が見込まれないにもかかわらず、寄附を約束する文書を提出して公益認定を受けることは、不正の手段により公益認定を受けること(認定法29条1項2号)に該当し得るものであるため、直ちに認定取消しとなり得るとともに罰則等の適用があり得ることに留意が必要です。

必要な収益等が十分に確保されているような場合には、債務超過等であることが、直ちに経理的基礎を欠くことを意味するわけではありませんが、財政基盤の確保に努めることが求められます。また、公益財団法人については、純資産額が2期連続で300万円を下回った場合に解散することとされている(法人法202条2項)点にも留意が必要です。

〔2〕経理処理・財産管理の適正性
法人の経理処理や財産の管理、運用について次の点を確認します。

法人の役員が適切に関与すること
開示情報や行政庁への提出書類の基礎として十分な会計帳簿を備え付けること
(法人が備え付ける会計帳簿は、事業の実態に応じ法人により異なりますが、例えば仕訳帳、総勘定元帳、予算の管理に必要な帳簿、償却資産その他の資産台帳、得意先元帳、仕入先元帳等の補助簿が考えられます。区分経理が求められる場合には、帳簿から経理区分が判別できるようにします。)
不適正な経理(支出に使途不明金があるもの、会計帳簿に虚偽の記載があるもの等)を行わないこと

不適正な経理等が発覚した場合には、速やかに適正な対応がとられる必要があります。
悪質なものを除き、不適正な経理が単発的に発生したことのみをもって監督処分等を講ずることはないものの、隠蔽や、原因を明らかにせず、適切に再発防止策を講じない、公益法人が受けた財産上の損害の回復(賠償請求等)をしない等の場合には、経理的基礎がないと判断し得ることとしています。

また、資産運用を含む財産の管理や契約は、法人の役員による適切な関与の下、適切に行われる必要があることから、理事会の権限である重要な財産の処分・譲り受けや多額の借財(法人法90条4項)、利益相反取引の承認(法人法92条)をはじめ、財産管理に関する重要な取引に関する関与(関係する規程の制定を含む)が行われていない等の場合には、経理的基礎がないと判断することがあり得ます。

公益認定の審査に当たっては、不適正な経理処理や財産管理を防止するための最低限のルールが機関決定され、組織的に講ずる措置が整備されているかを確認するため、経理規程等の提出を求めることとされています。

〔3〕情報開示の適正性
計算書類その他財務関係の情報が適正に作成され、開示されていることが求められます。

公益認定申請時には、経理的基礎を有することを明らかにする書類により、次にいずれかに該当する場合には、適切に情報開示が行われるものとして取り扱われます。

外部監査を受けている場合には、適切に情報開示が行われるものとして取り扱われます。
外部監査を受けていない場合には、次に掲げる者が監事を務めていれば適切に情報開示が行われるものとして取り扱われます。
•費用及び損失の額又は収益の額が1億円以上の法人
監事(2人以上の場合は少なくとも1名)を公認会計士又は税理士が務めること
•費用及び損失の額又は収益の額が1億円未満の法人
営利又は非営利法人の経理事務を例えば5年以上従事した者等が監事を務めること(この経理事務の経験者について、5年というのは一つの目安であり、形式的に簿記検定などの関連資格の保有者と定めることはないものの、会計について専門知識があり監事の職務を果たせる人物が求められます。)

なお、上記のような者が監事を務めることを法人に義務付けるものではありません。
このような体制にない法人は、公認会計士、税理士又はその他の経理事務の精通者が法人の情報開示にどのように関与するのかの説明を申請書の添付書類に記載し、個別に判断されます。

技術的能力

公益目的事業を行うのに必要な技術的能力とは、コンプライアンスを確保しつつ事業を適正に実施するための技術、専門的人材や設備、体制などの能力の確保とされています。

公益認定申請時には、公益目的事業の内容に係る申請書記載事項及び添付資料により判断されます。
例えば検査検定事業においては、検査に携わる人員や検査機器の能力の水準の設定とその確保や、審査に当たって公正性を確保する仕組みが公益目的事業のチェックポイント(第4章12参照)に掲げられており、申請書記載事項等を踏まえ、当該チェックポイントを満たすことを確認します。

事業に必要な技術的能力は、法人自らが全てを保有していることを求めるものではありません。
しかし、実態として自らが当該事業を実施しているとは評価されない程度にまで事業に必要な資源を外部に依存しているときには、技術的能力を備えていないものと判断される場合もあり得ます。

技術的能力の判断における公益法人の事務所について、総務機能のアウトソーシングが進められる中、書類の備置き・閲覧請求対応等を適切に実施することが確保されるとともに、公益目的事業等の内容に即して必要な事務所機能が確保されることを前提として他法人等との事務所の同居や間借り、複数法人での事務所共有も許容され得るとされています。
他法人等の事務所と同居する場合には、各法人の権利又は義務が混同されないことや、個人情報保護、営業秘密等については、法人として特に注意が必要です。

(3)法人関係者への特別の利益供与(3号 )

事業を行うに当たり、社員、評議員、理事、監事、使用人、その他のその法人の関係者に対し特別の利益を与えないものであることが求められます(認定法5条3号)。

「その他のその法人の関係者」とは次に掲げる者をいいます(認定法施行令1条、認定法施行規則1条)。

〔1〕その法人の理事、監事又は使用人
〔2〕当該法人が一般社団法人である場合にあっては、その社員又は基金の拠出者
〔3〕当該法人が一般財団法人である場合にあっては、その設立者又は評議員
〔4〕〔1〕から〔3〕に掲げる者の配偶者又は3親等内の親族
〔5〕〔1〕から〔4〕に掲げる者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
〔6〕〔4〕と〔5〕に掲げる者のほか、〔1〕から〔3〕に掲げる者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持する者
〔7〕〔2〕又は〔3〕に掲げる者が法人である場合にあっては、その法人が事業活動を支配する法人又はその法人の事業活動を支配する者として内閣府令で定めるもの(子法人等)

「特別の利益」とは、利益を与える個人又は団体の選定や利益の規模が、事業の内容や実施方法等具体的事業に即し、「社会通念に照らして合理性を欠く不相当な利益の供与その他の優遇」がこれに該当し、「その事業を
行うに当たり」とは、公益目的事業の実施に係る場合に限られません。

その判断は、当該法人が行う事業の具体的な内容等に基づいて個別に行われ、申請時には提出書類等から判断されます。法人の関係者や、関係者が役員等を務める法人に対して、資金その他の財産の貸付や、事業の委託その他多額の費用の支出を伴う契約がある場合等には、当該貸付や契約等について説明を求めることがあり得ます。

この場合において、合理的な説明が得られないときは、「特別の利益」を与えないものであると判断できない可能性があります(ガイドライン第3章第1(3)3)。

設立者や資源提供者である企業(設立企業等)に何らかの利益が生じることは否定されていません。
しかし、奨学金の受給者に対し、設立企業等への就職を義務付けるなど受益者に対し設立企業等のための義務を課すことや、事業の実施に当たって合理的理由なく設立企業等と独占的な契約を結ぶ場合などは、特別の利益に該当し得るため留意が必要です。

(4)個人・団体等への特別の利益供与(4号 )

法人が事業を行うに当たり、株式会社その他の営利事業を営む者又は特定の個人若しくは団体の利益を図る活動を行うものとして政令で定める者に対し、寄附その他の特別の利益を与える行為を行わないものであることが求められます(認定法5条4号)。
特別の利益の考え方は「(3)法人関係者への特別の利益供与(3号)」と同様です。ただし、公益法人に対し、当該公益法人が行う公益目的事業のために寄附その他の特別の利益を与える行為を行う場合は、この限りではありません。

「特定の個人若しくは団体の利益を図る活動を行うものとして政令で定める者」は、次に掲げる者をいいます(認定法施行令2条、認定法施行規則2条)。

〔1〕株式会社その他の営利事業を営む者に対して寄附その他の特別の利益を与える活動(公益法人に対して当該公益法人が行う公益目的事業のために寄附その他の特別の利益を与えるものを除く)を行う個人又は団体
〔2〕社員その他の構成員又は会員等(特定の者から継続的に若しくは反復して資産の譲渡若しくは貸付け若しくは役務の提供を受ける者又は特定の者の行う会員等相互の支援、交流、連絡その他その対象が会員等である活動に参加する者)の相互の支援、交流、連絡その他の社員その他の構成員又は会員等に共通する利益を図る活動を行うことを主たる目的とする団体

(5)公益法人としてふさわしくない事業等(5号 )

公益法人は、投機的な取引、高利の融資その他の事業であって、公益法人の社会的信用を維持する上でふさわしくないものとして政令で定めるもの又は公の秩序若しくは善良の風俗を害するおそれのある事業を行ってはなりません(認定法5条5号)。

「公益法人の社会的信用を維持する上でふさわしくないもの」は、次に掲げる事業をいいます(認定法施行令3条)。

〔1〕投機的な取引を行う事業※
〔2〕利息制限法1条の規定により計算した金額を超える利息の契約又は同法第4条第1項に規定する割合を超える賠償額の予定をその内容に含む金銭を目的とする消費貸借による貸付けを行う事業
〔3〕風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条5項に規定する性風俗関連特殊営業

※「投機的な取引を行う事業」に該当するかどうかは、社会通念(個別の取引自体の客観的なリスク)その法人における専門的知見の有無、取引の運用方針、取引の規模・内容等
具体的事情に照らして判断されます。例えば、社会一般において「賭博」と称されるような事業は、投機的な取引を行う事業となりますが、ポートフォリオ運用の一環として行う公開市場等を通じる証券投資等はこれに該当しません(ガイドライン第3章第1(4)1)。

判断基準
〔1〕社会的信用を維持する上でふさわしくない事業
社会的信用を維持する上でふさわしくない事業とは、それを行うこと自体は、法令に定める必要な手続等を踏まえている限り法令違反になるものではないものの、具体的に行われる事業の内容、その実施方法等が社会通念等に照らした場合、公益法人が行うものとしては適当ではないと考えられる事業をいいます(ガイドライン第3章第1(4)1)。

〔2〕公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある事業
公益法人が行う場合に限らず、社会の秩序若しくは一般の利益又は社会一般の道徳を害する可能性があり、違法となるおそれがある事業を一般的に指しています。
これに該当するかどうかはその法人が行おうとしている具体的な事業に即して、公益認定等委員会等が個別に判断することになります(ガイドライン第3章第1(4)2)。

(6)公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれ(7号 )

収益事業等(公益目的事業以外の事業)を行う場合には、収益事業等を行うことによって公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれがないものであることが求められます(認定法5条7号)。
これは、公益法人として事業活動を行う以上、その本来の目的である公益目的事業の実施に支障を及ぼすようなことがあれば、民間公益を増進するという公益法人制度の趣旨を損なうことになるためです。

「公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれ」とは、収益事業等の事業内容、法人全体での資源配分の状況等に照らして、公益目的事業の円滑な実施が妨げられる可能性があることを指しています。例えば、公益法人の行う収益事業等が構造的に赤字になる性質のものであり、当該事業を継続することによって当該法人の財政基盤を損なう可能性がある場合や、公益法人が収益事業等へ投入する人員が過大になり、公益目的事業へ十分な人的資源を割り当てられない、といった状態が考えられます。

また、公益法人の信用を利用して不適切な収益事業等を行う場合には、当該公益法人に対する信頼を毀損し、公益目的事業の実施に支障を及ぼすことにもなります。
このような状態にあるか否かについては、その法人が行う公益目的事業の内容や人員等の資源の利用状況その他の活動実態等を踏まえ、個別具体的に判断されることとなります(ガイドライン第3章第1(6))。

2 財務に関するもの

公益認定基準のうち、財務に関する基準(財務3基準)を満たしていることも公益認定要件となっています(財務3基準の詳細は第5章を参照)。

(1)中期的収支均衡(6号 )

公益目的事業に係る収入をその実施に要する適正な費用に充てることにより、中期的期間にその収支の均衡が図られると見込まれるものでなければなりません(認定法5条6号、14条)。
公益認定申請時においては、収支予算書の対象事業年度に係る見込額と基準に適合することを説明した書類を基に中期的収支均衡が図られることが見込まれるものか審査されます。

(2)公益目的事業比率(8号 )

公益法人は、法人が行う事業のうち、公益目的事業の比率が100分の50以上となると見込まれるものでなければなりません(認定法5条8号、15条)。つまり、法人の経常費用の総額のうち、公益目的事業の実施にかかる費用が50%以上であることが求められます。

(3)使途不特定財産額の保有制限(9号 )

法人が事業活動を行うに当たり、使途不特定財産額が所定の額を超えないと見込まれるものでなければなりません(認定法5条9号、16条)。

公益認定申請時には、収支予算書の対象事業年度に係る見込額及び基準に適合することを説明した書類を基に、使途不特定財産規制に適合することが見込まれるものか審査します。

3 機関に関するもの

(1)同一親族制限(10号 )

公益法人が特定の一族によって支配されると、法人の私物化や専横的な運営が行われるおそれがあります。不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するという公益法人本来の目的を達成する妨げになるため、公益認定の要件として役員等には制限があります。

各理事について、特別利害関係にある理事の合計数が理事の総数の3分の1を超えてはいけません。(認定法5条10号)。

特別利害関係とは、次に掲げる者をいいます(認定法5条10号、認定法施行令4条)。

〔1〕配偶者
〔2〕3親等以内の親族
〔3〕当該理事と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
〔4〕当該理事の使用人
〔5〕上記〔3〕、〔4〕以外の者であって、当該理事から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの
〔6〕上記〔4〕、〔5〕の配偶者
〔7〕上記〔3〕から〔5〕までの者の3親等内の親族であって、これらの者と生計を一にするもの

〔3〕~〔7〕については、社会通念に照らして判断します。なお、同一親族制限は理事だけでなく、監事についても同様です。監事の総数が1人の場合には、同一親族制限は適用されませんが、監事の総数が2人の場合には2人が相互に特別利害関係にあると3分の1を超えることになります。

【図表3】
理事 他の理事との関係
A氏 Bの配偶者 特別利害関係にある理事の合計数(2人)が理事の総数(3人)の3分の2である。
3分の1を超えているため、要件を満たしていない。
B氏 Aの配偶者
C氏 他の理事と特別利害関係はない
理事 他の理事との関係
A氏 Bの配偶者 特別利害関係にある理事の合計数(2人)が理事の総数(6人)の6分の2である。
3 分の1以内であるため、要件を満たしている。
B氏 Aの配偶者
C氏 他の理事と特別利害関係はない
D氏 他の理事と特別利害関係はない
F氏 他の理事と特別利害関係はない
F氏 他の理事と特別利害関係はない

(2)同一団体制限(11号 )

他の同一の団体の理事又は使用人である者、その他これに準ずる相互に密接な関係にあるものとして政令で定める者である理事の合計数が理事の総数の3分の1を超えてはいけません。監事についても同様です(認定法5 条11号)。

これは、公益法人が特定の団体から支配されることにより、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するという公益法人本来の目的に反した業務運営を防ぐことを目的としている制限です。
そのため、同一団体制限において、公益法人は制限対象となる他の同一の団体から除かれています。

同一の団体は、人格、組織、規則などから同一性が認められる団体ごとに判断します。ある他の同一の団体の関係者である公益法人の理事が当該基準の規律対象であるか否かは、それらの者が「他法人の理事や使用人」などと同視し得る程度に当該他の団体に支配・従属の関係にあるか、当該他の同一の団体の行動原理によって公益法人の運営が歪められるおそれがあるかという観点から判断します(ガイドライン第3章第1(10))。
法人格の有無を問わないため、権利能力なき社団も含まれます。

「その他これに準ずる相互に密接な関係にあるものとして政令で定める者」とは、次に掲げる者をいいます。

〔1〕当該他の同一の団体の理事以外の役員(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものにあっては、その代表者又は管理人)又は業務を執行する社員である者
〔2〕以下の団体の職員(国会議員及び地方議員を除く)である者
・国の機関※
・大学共同利用機関法人
・地方公共団体
・独立行政法人
・国立大学法人
・地方独立行政法人
・特殊法人
・認可法人

※ 国の機関についてどこまで同一と捉えるかは、同一団体制限の趣旨に照らすと、当該法人の目的、事業との関係において利害を同じくする範囲と考えられるため、一般的には事務分掌の単位である省庁単位となります(ガイドライン第3章第1(10))。

【図表4】同一団体制限
理事 他の理事との関係
G氏 国立大学法人○△大学の職員 理事の合計数が3人であり、他の同一団体から2人の理事を受け入れている。
3分の1を超えているため、要件を満たしていない。
H氏 ○△市の職員
I氏 ○△市の職員
理事 他の理事との関係
G氏 国立大学法人○△大学の職員 相互に密接な関係のある者には、すでに退職した者は含まない。
3分の1以内であるため、要件を満たしている。
H氏 ○△市の職員
I氏 ○△市の職員(○△市OB)

(3)特別利害関係の排除(12号 )

監事が本来の役割を発揮して法人の適正な運営を確保する上で、理事からの独立性を高めることが必要です。そのため、各理事と監事(監事が2人以上の場合には各監事)との間で特別利害関係を有してはならないという規律が設けられています(認定法5条12号)。特別利害関係の考え方は、「(1)同一親族制限(10号)」と同様です。

2025年4月の公益法人制度改革以前は、理事と監事の親族関係について規律は置かれていませんでしたが、理事の配偶者が監事に就任していた法人で不適切な財産管理が行われた事例等がみられたことも踏まえてこの規律が新たに設けられました。

【図表5】特別利害関係の排除
役員 他の理事との関係
理事K氏 監事Nの父親 理事Kと監事Nは特別利害関係(相互に3親等以内の親族)を有しているため、要件を満たしていない。
理事L氏 他の役員と特別利害関係はない
理事M氏 他の役員と特別利害関係はない
理事N氏 理事Kの長男

(4)会計監査人の設置(13号 )

損益計算書(活動計算書)に計上した収益の部の額が100億円以上、費用及び損失の部に計上した額が100億円以上、貸借対照表の負債の部に計上した額が50億円以上のいずれかに該当する法人は、会計監査人を設置しなければなりません(認定法5条13号、認定法施行令6条)。
公益法人の財務の透明性を高め、国民の信頼を確保する上で重要であることから会計監査人の設置を求めていますが、小規模な公益法人には負担になるため、会計監査人を設置しないことができます。

会計監査人は公認会計士又は監査法人でなければなりません。ただし、次に掲げる者は会計監査人になることができません(法人法68条1項、3項、177条)。

  1. 公認会計士法の規定により計算書類について監査をすることができない者
  2. 社団・財団法人の子法人若しくはその理事若しくは監事から公認会計士若しくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者又はその配偶者
  3. 監査法人でその社員の半数以上が②に掲げる者であるもの

(5)役員等の報酬等の支給基準(14号 )

理事、監事、評議員(以下、「理事等」という。)に対する報酬等は、名称にかかわらず不当に高額なものとならないような支給の基準を定めなければなりません(認定法5条14号)。
そして、この役員等の報酬等の支給基準に従って理事等に対する報酬を支給しなければなりません(認定法20条)。

また、行政庁は「報酬等の支給の基準」の実際の運用について、「不当に高額な報酬等とならないよう」定められているか否かをその実施状況に照らして判断します。例えば、法人のガバナンスが適切に機能しておらず、実態として、高水準の報酬が継続的に支給されている場合は、当該運用に係る「報酬等の支給の基準」が「不当に高額な報酬等とならないよう」定められていない、又は、「報酬等の支給の基準」に従った合理性のある支給が行われていないとして、公益認定法20条に違反した支給が行われていると判断し得るとされています(ガイドライン第3章第1(13))。

公益法人は、国民からの寄附や税制優遇を受けて公益目的事業を行うことから、公益法人が取得した財産は公益目的事業に適正に使用されるべきものであり、正当な対価を超えた報酬を支給すべきではありません。そのため、公益法人の理事等の報酬が、民間事業者の役員の報酬等、従業員の給与、その他の事情を考慮して、不当に高額なものとならないような支給の基準を定めていることが、公益認定の要件とされています。

報酬等について

支給の基準を定めるべき理事等に対する報酬等は、職務遂行の対価(報酬、賞与、退職手当等)に限られていて、役員が職員を兼務する場合において、職員としての勤務の対価として受ける給与は報酬等に該当しません。

なお、職員の勤務の対価としては不相応に高額な給与を受けることは、制度を潜脱するものであり、許されません。法人の職員等に対して、勤務の対価としては不相応に高額な給与を支給することは、当該者に対して特別の利益(認定法5条3号)を与えると判断され得ることに留意が必要です。社員についても同様です。

交通費との関係

理事等に対して、交通費として実費相当額を支給する場合には報酬等には該当しません。
しかし、「お車代」などの名称の如何を問わず、実費相当額を超えて支給する場合には、支給基準に盛り込むことが必要となります。

非常勤理事等に対する報酬等

報酬等の支給基準を定めるといっても、報酬等の支給を義務付ける趣旨ではないため、無報酬でも問題ありません。
その場合は、報酬等の支給基準において無報酬である旨を定めることになります(定款において無報酬と定めている場合には、別途支給基準を定める必要性はありません)。

非常勤の理事等に対して、職務遂行の対価として、各々の責任に見合った報酬等を支給することも可能です。
職務遂行の対価として支給する日当はもちろんのこと、交通費実費相当額を超えて支給するお車代等は、この基準でいう報酬等に含まれます。

定款において、原則無報酬であるとした上で、常勤役員等に対して支給することもできると規定する場合には、支給する場合について定めておくことが必要になります。定款で支給ができる旨の規定はあるものの、当面の間は役員報酬を支給する予定がないような場合は、支給基準において無報酬である旨を定めます(この場合は、将来支給することとなった場合には支給基準の改訂が必要になります)。

算定方法、支給方法・形態

理事等に対する報酬等の支給の基準は、理事等の勤務形態に応じた報酬等の区分、その額の算定方法、支給の方法、支給形態が明らかになるように定める必要があります(認定法施行規則3条)。

「理事の報酬額は理事長が理事会の承認を得て定める」のような支給基準とすることは報酬科目や算定方法が明らかにされないことから、公益認定基準が満たされません。

なお、報酬等の額については、理事が自らの報酬等の額を定めることによるお手盛りを防止する観点から、社員総会又は評議員会の決議により定めることが必要です(法人法89条、197条)。
したがって、支給基準の範囲内であっても理事長が理事の個々の報酬等の額を決定することは認められません。

なお、理事によるお手盛りを防止するという法の趣旨からは、定款又は社員総会若しくは評議員会において、理事の報酬等の総額を定めることで足り、理事が複数いる場合における理事各人の報酬等の額を、その総額の範囲内で理事会の決議によって定めることは差し支えないと解されています。

ただし、社員総会(評議員会)の決議によって定められた総額の範囲内において決定するという規定や、単に職員給与規程に定める職員の支給基準に準じて支給するというだけの規定では、どのような算定過程から具体的な報酬額が決定されるのかを第三者が理解することは困難であり、公益認定基準を満たさないものと考えられます。

算定方法の他に支給の方法と支給形態も定める必要があります。
支給の方法とは、支給の時期(毎月か出席の都度か、各月又は各年のいつ頃か)や支給の手段(銀行振込みなど)等をいいます。
支給の形態とは、現金・現物の別等をいいます。
ただし、報酬額につき金額の記載しかないなど金銭支給であることが客観的に明らかな場合は、「現金」等の記載は特段必要ありません。

支給基準の決定機関

理事及び監事の報酬等の支給基準は次の2通りが考えられます(法人法89条、105条、197条)。

  • 社員総会又は評議員会の決議によって決定する方法
  • 社員総会又は評議員会では報酬等の総額を定め、各理事の報酬金額は理事会で、監事が2名以上いる場合の報酬金額は監事の協議で決定する方法

評議員の報酬は、定款で定めることになっています(法人法196条)が、その支給基準は定款又は評議員会のいずれかで決定することになります(FAQⅡ-3-⑦)。

例えば、役職に応じた一人当たりの上限額を定めたうえ、各理事の具体的な報酬金額については理事会が、監事や評議員については社員総会(評議員会)が決定するといった規定は、許容されます。
また、退職慰労金について、退職時の月例報酬に在職年数に応じた支給率を乗じて算出した額を上限に各理事については理事会が、監事や評議員については社員総会(評議員会)が決定するという方法も許容されるものと考えられます。

なお、国等他団体の俸給表等を準用している場合には、準用する給与規程(該当部分の抜粋も可)を支給基準の別紙と位置付け、支給基準と一体のものとして行政庁に提出することになります。

開示・公表

理事等に対する報酬等の支給の基準については、行政庁において、公益法人から提出を受けた書類の公表の一環として公表されます。
また、公益法人においては、支給基準を記載した書類を事務所に備置き、閲覧請求等に応じる義務があります。
運営の透明性の向上の観点から自らもホームページ等において支給基準を公表することが望ましいです。

理事等の年間の職務執行の対価(役員報酬、賞与等)の合計額が2,000万円を超える場合には、その金額とその理由について情報開示することとされています(認定法施行規則46条2号ハ)。
これは法人の説明責任を求めるものであり、2,000万円を超える報酬を否定する趣旨ではありません。

また、説明責任を求める趣旨を踏まえ、「理事・監事等毎の報酬等の総額」については、財産目録等の書類により公表されます。

法人が法令の規定に基づき適正に文書の作成・開示等を行わず、当該説明責任を果たさない場合には、公益認定法の規定を遵守しておらず、又は経理的基礎若しくは技術的能力を欠くものとして、監督措置を講ずることとなります。

不当に高額な報酬等

公益法人は民間の法人であるため、役員報酬については、業務内容や財務状況、職務の責任や人材確保の必要性等を踏まえて法人の適切なガバナンスの下で決定します。
役員報酬について適切に情報開示が行われていてステークホルダーの理解を得ている場合には、行政庁が介入することはやむを得ない場合に限られます。
民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与、当該法人の経理の状況その他の事情を考慮して、通常想定される額を著しく上回り、これを放置すると公益法人制度に対する国民の信頼・信任を得られなくなると判断される場合に限り、行政庁として「不当に高額」と判断するものとしています。

その際、「不当に高額な報酬」の額については、金額の絶対値のみに着目して判断することは、法人の多様な実態に照らして現実的ではなく、また、安易に上限を定めることは適切ではありません。
以上を踏まえれば、例えば、合理的な理由がないにもかかわらず、「同種・類似法人の役員報酬の2倍超」の役員報酬が支給されるような場合は、不当に高額な報酬に該当すると考えられます。

なお、役員報酬に関する情報開示が適切に行われていない場合には、法人のガバナンスが機能していないと考えられることから、社会通念に照らして通常想定される額を大きく上回るときには、行政庁として「不当に高額」とみなし、必要な監督措置を講ずる余地があります。

(6)外部理事(15号 )

法人運営が内輪の者だけで行われることを防止するために、理事のうち1人以上が外部理事であることが求められます。2025年4月の公益認定法改正前にはこの基準はありませんでしたが、一部の法人において、理事による公益法人の私物化や内輪のみの法人運営が行われ、法人の機関が健全に機能しない例が見受けられたこと等を踏まえ、追加されました。

外部理事は、当該法人・その子法人の業務執行理事または使用人でなく、かつ、その就任の前10年間当該法人・その子法人の業務執行理事または使用人であったことがない者をいいます(認定法5条15号)。
ただし、当該法人が社団の場合は社員、当該法人が財団の場合には設立者(いずれも法人の場合はその役員・使用人も含む)が外部理事になることはできません(認定法施行規則4条)。

法人の私物化防止の観点では法人の規模は関係ありませんが、小規模な法人は外部理事を設置しなくても良いとされています(認定法施行令7条)。
小規模な法人の基準は、収益の額が3,000万円未満かつ費用・損失の額が3,000万円未満としています。事業年度終了時に、これらの基準を超えることが判明した場合には、あらかじめ社員総会(評議員会)において外部理事の設置及び選任をしておくなどの対応が求められます。

公益認定申請に当たっては、外部理事について、理事等の氏名、生年月日及び住所を記載した書類(認定法施行規則7条3項2号)において明らかにします。

【図表6】外部理事の要件
外部理事は次の全てを満たす者
  公益社団法人 公益財団法人
1 当該法人(又はその子法人)の業務執行理事ではない者
2 当該法人(又はその子法人)の使用人ではない者
3 その就任前10年間に当該法人(又は子法人)の業務執行理事であったことがない者
4 その就任前10年間に当該法人(又は子法人)の使用人であったことがない者
5 当該法人の社員でない者(社員が法人である場合は、その役員又は使用人でない者) 当該法人の設立者でない者(設立者が法人である場合は、当該法人又はその子法人の役員又は使用人でない者)


※ 外部理事は、収益の額が3,000万円未満、かつ費用及び損失の額が3,000万円未満の法人については適用除外となります。

(7)外部監事(16号 )

監事についても監事のうち1人以上が外部監事であることが求められます。
外部監事は、その就任の前10年間当該法人・その子法人の理事または使用人であったことがない者をいいます(認定法5条16号)。

ただし、外部監事には当該法人が社団の場合は社員、当該法人が財団の場合には設立者(いずれも法人の場合はその役員・使用人も含む)が外部監事になることはできません(認定法施行規則5条)。

小規模法人は外部理事を設置しなくても良いとされていますが、外部監事は法人の規模にかかわらず設置が必要ですのでご注意ください。

公益認定申請に当たっては、外部監事について、監事の氏名、生年月日及び住所を記載した書類(認定法施行規則7条3項2号)において明らかにします。

【図表7】外部監事の要件
外部監事は次の全てを満たす者
  公益社団法人 公益財団法人
1 当該法人(又はその子法人)の理事ではない者
2 当該法人(又はその子法人)の使用人ではない者
3 その就任前10年間に当該法人(又は子法人)の理事であったことがない者
4 その就任前10年間に当該法人(又は子法人)の使用人であったことがない者
5 当該法人の社員でない者(社員が法人である場合は、その役員又は使用人でない者) 当該法人の設立者でない者(設立者が法人である場合は、当該法人又はその子法人の役員又は使用人でない者)


※ 外部監事には適用除外規定が設けられていません。

(8)社員の資格得喪に関する基準(17号 )

公益社団法人が、社員資格の得喪に関して不当に差別的な取扱いをするような条件(社員資格を合理的な理由なく特定の要件を満たす者に限定している等)を設けると、社員総会の構成員である社員の意思が一定の傾向を有することにより、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するという公益法人本来の目的に反した業務運営を行うおそれが生じます。

そのため、公益社団法人においては、当該条件を付していないことを公益認定の基準としています。
社員の資格得喪に関する基準として、公益社団法人については、次の3つのいずれにも該当しなければなりません(認定法5条17号)。

〔1〕社員の得喪

社員の資格の得喪に関して、法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをする条件その他の不当な条件を付していないものであること。
「社員の資格の得喪」に関する定款の定めにおいて「不当な条件」を付しているかどうかについては、社会通念に従い判断します。法人の目的、事業内容に照らして当該条件に合理的な関連性及び必要性があれば、不当な条件には該当しません。
例えば、専門性の高い事業活動を行っている法人において、その専門性の維持、向上を図ることが法人の目的に照らして必要であり、その必要性から合理的な範囲で社員資格を一定の有資格者等に限定したり、理事会の承認等一定の手続的な要件を付したりすることは、不当な条件には該当しません。

〔2〕議決権

社員総会において行使できる議決権の数、議決権を行使することができる事項、議決権の行使の条件その他の社員の議決権に関する定款の定めがある場合には、その定めが次の2ついずれにも該当するものであること。

  • 社員の議決権に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをしないものであること。
  • 社員の議決権に関して、社員が当該法人に対して提供した金銭その他の財産の価額に応じて異なる取扱いを行わないものであること。

「社員の議決権」に関する定款の定めにおいて「不当に差別的な取扱い」等を付しているかどうかについても、「社員の得喪」と同様に、社会通念に従い判断し、当該取扱いに合理的な関連性及び必要性があれば、不当に差別的な取扱い等には該当しません。

〔3〕理事会

理事会を置いているものであること。
なお、一般社団法人は理事会の設置は任意とされていますが、公益社団法人は理事会が必置となっています。

公益認定申請に当たっては、社員の資格の得喪及び議決権に関する定款の条項(定款の他に細則がある場合は当該細則を含む。)、資格得喪に関する条項が法人の目的・事業内容に照らして合理的な関連性及び必要性があることについての説明、社員の議決権に関して社員ごとに異なる取扱いをしている場合に法人の目的に照らして不当に差別的な取扱いをしないものであることの説明を申請書「法人の組織について」に記載します。

申請書「法人の組織について」記載例

「3 機関に関するもの」と役員等の資格を整理すると、役員等の構成は次のとおりとなります。

4 財産に関するもの

(1)株式等の保有制限(18号 )

株式等の保有を通じて他の営利法人等に対して実質的な影響力を及ぼすことを認めれば、実質的に営利法人として活動が行われることとなり、公益認定の基準、遵守事項の潜脱につながることから、株式等の保有が制限されています。

公益法人は、他の団体の意思決定に関与することができるような株式その他の財産を保有してはなりません(認定法5条18号)。ただし、議決権の過半数を有していない場合には、他の団体を実質的に支配するおそれが無いものとして、その保有が認められています。また、無議決権株式は、当該株式を発行する会社に対する実質的な支配権を与えられるものではないため、規制の対象とはなりません。保有が制限されている株式その他の財産は、次の財産をいいます(認定法施行規則6条)。

  1. 株式
  2. 特別の法律により設立された法人の発行する出資に基づく権利
  3. 合名会社、合資会社、合同会社その他の社団法人の社員権(公益社団法人に係るものを除く)
  4. 民法に規定する組合契約、投資事業有限責任組合契約に関する法律3条1項に規定する投資事業有限責任組合契約又は有限責任事業組合契約に関する法律3条1項に規定する有限責任事業組合契約に基づく権利(当該公益法人が単独で又はその持分以上の業務を執行する組合員であるものを除く)
  5. 信託契約に基づく委託者又は受託者としての権利(当該公益法人が単独の又はその事務の相当の部分を処理する受託者であるものを除く)
  6. 外国の法令に基づく財産であって、①~⑤に掲げる財産に類するもの

(2)不可欠特定財産の維持及び処分制限(19号 )

公益法人に「公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産」(以下「不可欠特定財産」という。)がある時は、その旨並びにその維持及び処分について、必要な事項を定款に規定する必要があります(認定法5条19号)。

不可欠特定財産とは、例えば、一定の目的の下に収集、展示され、再収集が困難な美術館の美術品や、歴史的文化的価値があり、再生不可能な建造物等が該当します。
不可欠特定財産の安易な処分を認めれば、当該事業の実施に支障が生じるおそれがあるため、公益法人の自律的な意思決定を阻害しない範囲で、当該財産の処分について公益認定の基準として設けられています。

不可欠特定財産がある場合には、財産種別や場所・物量等を列記するなどの方法により、どの財産が不可欠特定財産に該当するのかが分かるように具体的に特定して定款に定めておく必要があります。
不可欠特定財産がある場合には、全て公益認定申請時にその旨を定めておく必要があり、公益認定審査時には、不可欠特定財産として記載されたものが、不可欠特定財産に当たるかを確認します。

なお、金融資産や通常の土地・建物は、処分又は他目的への利用の可能性などから必ずしも上記のような不可欠特定という性質はないと考えられることから、不可欠特定財産には該当しません。

(3)公益目的取得財産残額の贈与(20号)

公益認定の取消の処分を受けた場合、又は合併により法人が消滅する場合に、公益目的取得財産残額がある時は、これに相当する額の財産をその公益認定取り消しの日又はその合併の日から1月以内に類似の事業を目的とする他の公益法人若しくは以下の①から⑧の法人又は国若しくは地方公共団体に贈与する旨を定款で規定しておかなければなりません(認定法5条20号、認定法施行令9条)。

  1. 学校法人
  2. 社会福祉法人
  3. 更生保護法人
  4. 独立行政法人
  5. 国立大学法人
  6. 大学共同利用機関法人
  7. 地方独立行政法人
  8. 上記1から7までに掲げる法人に準ずる次に掲げる法人
  9.  •特殊法人(株式会社であるもの除く)
     •日本赤十字社
     • 特殊法人、日本赤十字社以外の法人のうち、次のいずれにも該当するもの

    • (ア)法令の規定により、その法人の主たる目的が学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する事業を行うものであることが定められていること。
    • (イ)法令等の規定により、各役員について、その役員及びその配偶者又は3親等以内の親族である役員の合計数が役員の総数の3分の1を超えないことが定められていること。
    • (ウ)社員その他の構成員に剰余金の分配を受ける権利を与えることができないものであること。
    • (エ)社員その他の構成員又は役員及びこれらの者の配偶者又は3 親等以内の親族に対して特別の利益を与えないものであること。
    • (オ)法令等の規定により、残余財産を当該法人の目的に類似する目的のために処分し、又は国若しくは地方公共団体に帰属することが定められていること。

(4)残余財産の帰属先(21号)

公益法人が清算する場合には、その残余財産を類似の事業を目的とする他の公益法人若しくは「(3)公益目的取得財産残額の贈与(20号)」の1から8までに掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に帰属させる(贈与する)旨を定款で定めていなければなりません(認定法5条21号)。

公益法人が清算をする場合には、法人として存続し活動が継続することはないため、残余財産を、類似の事業を目的とする他の公益法人等に対して贈与する旨を定款で定めていることのみが要件になっています

執筆者Profile

上仲孝明(うえなか・たかあき)

税理士。全国公益法人協会相談室顧問。みずほインベスターズ証券(現みずほ証券)、財団法人、KPMG税理士法人等を経て税理士事務所を開設。公益法人への会計・税務・運営面の総合的な支援業務を中心に従事。