一般社団法人の解散・清算手続|法定期間・必要書類・登記・税務

一般社団法人の解散・清算手続|法定期間・必要書類・登記・税務

一般社団法人が活動を終える場合、単に事業を停止するだけでは法人は消滅しません。社員総会の決議や社員の欠亡などによって解散した後、清算手続を行う必要があります。合併による解散では清算を行わず、破産手続開始の決定による解散では破産法に基づく手続を進めるため、解散事由によって流れが異なります。

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清算とは、清算人が継続中の業務を終え、債権を回収し、債務を弁済したうえで、残余財産を帰属先へ引き渡し、法人を消滅させるための一連の手続です。解散後も、清算が結了するまでは清算法人として存続し、登記や税務申告などの義務が残ります。本稿では、社員総会の決議による自主解散を中心に、解散から清算結了までの手続と残余財産の税務上の注意点を整理します。

一般社団法人が解散に至る5つの主な事由

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一般社団法人が解散する契機となる事由は、一般法人法第148条に定められています。実務上、特に重要となる5つの事由について整理しておきましょう。

第1に、定款で定めた解散事由の発生です(一般法人法第148条第1号)。定款にあらかじめ特定の事業の完了や設立からの存続期間満了といった解散事由を具体的に定めている場合、その事由の発生によって解散します。

第2に、社員総会の決議による自主解散です(一般法人法第148条第3号)。これは実務上最も頻繁に見られる解散の形です。社員総会において解散を決議するためには、総社員の半数以上であって、その議決権の3分の2以上に当たる多数による特別決議が求められます(一般法人法第49条第2項本文、同項第6号、第148条第3号)。定款でこの要件をさらに厳しくすることは可能ですが、緩和することはできません。

第3に、先述した社員の欠亡です(一般法人法第148条第4号)。社員が0人になった場合、法人はその意思にかかわらず強制的に解散することになります。

第4に、合併による消滅です(一般法人法第148条第5号)。他の法人に吸収合併される場合、消滅する側の法人は解散します。

第5に、破産手続開始の決定です(一般法人法第148条第6号)。債務超過等により、裁判所から破産手続開始の決定を受けた場合も解散事由となります。

また、これらの自主的な事由とは別に、長期間登記が放置されている法人に対する休眠解散(みなし解散)の制度が存在します(一般法人法第149条)。最後の登記から5年を経過している一般社団法人は休眠一般法人とみなされ、法務大臣による官報公告から2か月以内に「まだ事業を廃止していない」旨の届出または登記申請をしない場合、その期間の満了時に解散したものとみなされます(一般法人法第149条第1項)。

このみなし解散の通知を受けてから法人を復活させる(継続登記を行う)ためには、解散したものとみなされた後3年以内に限り、社員総会の特別決議による法人継続の決定を行う必要があります(一般法人法第150条)。期限を過ぎると、もはや法人を復活させることはできなくなります。

解散から清算結了までの実務フローと法定期間

一般社団法人が解散すると、法人の目的は清算に必要な範囲へ限定され、清算人が清算事務を進めます。

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債権者に債権の申出を求める期間だけで2か月以上必要です。官報への掲載準備、債権回収、債務の確定、残余財産の引渡し、社員総会、登記まで含めると、解散から清算結了まで3か月以上を見込むのが現実的です。債権・債務が多い法人や税務調査中の法人では、さらに長くなります。具体的な実務フローは次のとおりです。

第1に、解散および清算人の就任登記です。解散事由が発生した日(社員総会で解散を決議した日など)から2週間以内に、主たる事務所の所在地において、解散の登記(一般法人法第308条第1項)と清算人等の登記(同法第310条第1項)を併せて申請する必要があります。この登記にかかる登録免許税は、解散登記が30,000円、清算人選任登記が9,000円の合計39,000円です(登録免許税法別表第一)。

第2に、債権者に対する官報公告と個別催告です。清算人は、就任後遅滞なく、法人に債権を有する者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告しなければなりません(一般法人法第233条第1項)。この申出期間は、2か月を下回ることができません。また、法人が把握している知れている債権者に対しては、官報公告だけでなく、個別に催告を行う必要があります(一般法人法第233条第1項)。

第3に、解散時における財産目録および貸借対照表の作成です。清算人は、就任後遅滞なく、解散の日における法人の財産状態を調査し、財産目録および貸借対照表を作成しなければなりません(一般法人法第225条第1項)。これらは社員総会に提出してその承認を受ける必要があります(一般法人法第225条第3項)。

第4に、現務の結了と債権回収、債務の弁済です。進行中の事業を終わらせ、未回収の売掛金などの債権を回収し、滞っている債務を弁済します。

第5に、残余財産の確定と分配です。すべての債務を弁済した後に残った財産(残余財産)を、定款や法令の定めに従って帰属先に引き渡します。

第6に、決算報告の作成と社員総会の承認です。清算事務がすべて終了したとき、清算人は遅滞なく決算報告を作成し、社員総会の承認を受けなければなりません(一般法人法第240条第1項、第3項)。

第7に、清算結了登記です。社員総会による決算報告の承認から2週間以内に、主たる事務所の所在地において清算結了の登記を申請します(一般法人法第311条)。この登記によって法人登記は閉鎖されます。清算結了登記の登録免許税は2,000円です(登録免許税法別表第一)。

清算人の職務権限と選任における実務上の留意点

清算人は、解散後の法人において清算事務を執行する機関です。一般法人法第212条は、清算人の職務として以下の3つを定めています。

  1. 現務の結了
  2. 債権の取立て及び債務の弁済
  3. 残余財産の引渡し

これらを実行するため、清算人は法人の業務を執行し、法人を代表する一切の裁判上または裁判外の行為を行う権限を有します(一般法人法第214条)。

実務において、清算人に誰が就任するかは重要な論点です。清算人の就任には、一般法人法第209条第1項・第2項に基づく4つのルートがあります。

第1に、定款に定められた者が就任するルートです。 第2に、社員総会の決議によって選任されるルートです。 第3に、上記による定めがない場合、解散時の理事がそのまま清算人にスライドして就任するルートです(これを法定清算人といいます。一般法人法第209条第1項第1号)。 第4に、上記いずれの方法によっても清算人となる者がないときに、裁判所が利害関係人の申立てによって選任するルートです(一般法人法第209条第2項)。

従来の理事がそのまま法定清算人となる場合と、社員総会で代表理事などを改めて清算人に選任する場合では、登記の添付書類が異なります。

登記申請の実務においては、どのルートで清算人が就任したかによって、法務局に提出する必要書類が異なります。例えば、理事がそのまま法定清算人になる場合、定款の提出は必要ですが、就任承諾書の添付は原則として不要とされています。これは、理事が就任した際の承諾をもって清算人の就任承諾に代えることができると解されているためです。

一方、社員総会で別途清算人を選任した場合には、選任に関する社員総会議事録に加え、就任する者の就任承諾書や印鑑証明書が必要となります(商業登記法等の規定に基づく)。理事がそのままスライドするからといって、手続きを簡略化しすぎると登記申請で補正を求められる原因となるため、選任区分の違いを正確に把握しておく必要があります。

一般社団法人の残余財産帰属ルールと税務リスク

一般社団法人の解散手続きにおいて、株式会社と最も大きく異なるのが、残余財産の帰属に関するルールです。

一般社団法人は、社員に剰余金や残余財産の分配を受ける権利を与える定款の規定を置くことができません。そのような定款の規定は無効です(一般法人法第11条第2項)。ただし、定款によって社員へ残余財産の分配を受ける権利をあらかじめ与えることと、解散時の社員総会で社員を残余財産の帰属先に定めることは別の問題です。

残余財産の帰属先は、一般法人法第239条の規定に基づき、以下の順序で決定されます。

第1に、定款の定めに従います(一般法人法第239条第1項)。 第2に、定款に定めがないときは、社員総会の決議によって帰属先を決定します(一般法人法第239条第2項)。 第3に、上記いずれの方法によっても帰属先が決まらない残余財産は、最終的に国庫に帰属することになります(一般法人法第239条第3項)。

一般法人法第239条だけを見れば、定款で帰属先が決まらない場合、社員総会の決議で社員を帰属先に定める余地があります。しかし、法人税法上の非営利型法人に該当する場合は、その類型ごとの要件も確認しなければなりません。

非営利性が徹底された法人

非営利型法人には、「非営利性が徹底された法人」と「共益的活動を目的とする法人」の2類型があります。残余財産に関する要件は同じではありません。

非営利性が徹底された法人に該当するには、残余財産が最終的に次のいずれかへ帰属する旨を定款で定めておく必要があります(法人税法施行令第3条第1項)。

  • 国または地方公共団体
  • 公益社団法人または公益財団法人
  • 公益認定法第5条第20号イからトまでに掲げる法人
  • 残余財産を公益信託の信託財産とする場合の公益信託受託者

社員、理事、親族、一般企業などへ残余財産を帰属させる定めがある法人は、この類型の要件を満たしません。これは残余財産を実際に引き渡す場面だけの制限ではなく、非営利型法人であるための定款要件です。

共益的活動を目的とする法人

共益的活動を目的とする法人、いわゆる共益型では、残余財産を国や公益法人などへ帰属させる旨を定款に積極的に定めることまでは求められません。ただし、特定の個人または団体へ帰属させる旨を定款に定めていないことが要件です。国、地方公共団体、一定の公益的な法人のほか、目的が類似する他の一般社団法人または一般財団法人を帰属先とする定めは、この制限から除かれます(法人税法施行令第3条第2項)。

共益型では、会員間で各会員の負担に応じて残余財産を還付する場合は、非営利型法人の要件違反にならないとされています。一方、会員の負担と関係なく特定の社員や関係者へ財産を帰属させる場合は、特別の利益を与えることにならないかを検討する必要があります。

特定の個人または団体へ特別の利益を与えることを決定し、または実際に与えた場合は、その要件を欠いた日に共益型から普通法人へ移ります。このとき大きなリスクとなるのが、累積所得金額への課税です。

累積所得金額とは、非営利型法人だった過去の期間に、収益事業以外の事業から生じて法人内に蓄積され、これまで法人税が課されていなかった所得の累積額として計算される金額です。過去の申告をやり直すのではなく、この蓄積額を普通法人へ移った日の属する事業年度の益金にまとめて算入するため、その年度に多額の法人税が発生する可能性があります(法人税法第64条の4第1項、法人税法施行令第131条の4第1項)。法人の運営期間が長く、非課税の所得が多く蓄積されているほど影響は大きくなります。

非営利型法人に該当しない一般社団法人

非営利型法人に該当しない一般社団法人は、法人税法上の普通法人として全ての所得が課税対象になります。定款で残余財産の帰属先が決まらない場合は、社員総会の決議によって社員を帰属先に定める余地があります。ただし、法人側と受領者側の課税関係は、受領者が個人か法人か、分配の経緯や内容などによって異なります。分配額だけでなく、税負担後の手取額まで確認したうえで帰属先を決める必要があります。

解散・清算における税務申告と期限

一般社団法人の解散から清算結了までには、通常、解散事業年度、清算中の各事業年度、残余財産確定事業年度について申告します。清算が複数年に及ぶ場合は、清算中の事業年度の申告が複数回必要になります。

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1. 解散確定申告

法人が事業年度の途中で解散したときは、その事業年度の開始日から解散の日までの期間が解散事業年度となります(法人税法第14条第1項第1号)。この期間について確定申告を行います(法人税法第74条第1項)。

申告期限は、解散の日の翌日から2か月以内です。申告書には必要な財務諸表や勘定科目内訳明細書などを添付します。これとは別に、清算人は解散日における財産目録と貸借対照表を作成し、社員総会の承認を受けます(一般法人法第225条)。

2. 清算事業年度の確定申告

解散日の翌日から清算結了までは、清算中の事業年度となります。清算手続きが長期に及び、解散日の翌日から1年を経過しても清算が結了しない場合、事業年度をまたぐことになります。この場合、各清算事業年度(1年間)が終了するたびに、その期間に係る確定申告を行う必要があります。

申告期限は、各清算事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。

3. 残余財産確定申告(清算結了時)

清算人がすべての債務を弁済し、残余財産が最終的に確定したときは、残余財産確定事業年度の確定申告を行います。

申告期限は、残余財産が確定した日の翌日から1か月以内です。ただし、その期間内に残余財産の最後の分配または引渡しを行う場合は、その日の前日までとなります(法人税法第74条第2項)。残余財産確定事業年度には通常の確定申告期限の延長特例が適用されないため、分配・引渡しの日程から逆算して申告準備を進めます。

一般社団法人の清算では、2か月以上の債権申出期間、財産目録と貸借対照表の作成、債権回収と債務弁済、残余財産の引渡し、税務申告、清算結了登記を順番に進めます。特に残余財産の帰属先を決める前に、普通法人か非営利型法人か、非営利型法人であればどちらの類型かを確認する必要があります。

非営利型法人が要件を欠く場合は、残余財産の引渡し額だけでなく、普通法人へ移る事業年度に課税される累積所得金額も試算します。定款、会員と会費の実態、候補となる帰属先、法人側と受領者側の税負担を一体で整理する必要がある場合は、全国公益法人協会にご相談ください。

監修者Profile
監修者イラスト
桑波田直人(くわはた・なおと)
(一財)全国公益支援財団専務理事、(株)全国非営利法人協会(全国公益法人協会)専務取締役、(公社)非営利法人研究学会常任理事。 『公益・一般法人』編集長、非営利法人研究学会事務局長等を経て現職。AIチャット「全国公益AIナビ」開発者、全国公益法人協会AI駆動自動化委員会委員長。編著に『新訂版 公益法人・一般法人の機関と運営』、『非営利用語辞典』。

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