レセプト

 診療報酬明細書、調剤報酬明細書、訪問看護報酬明細書の略称である。保険医療機関等によって患者に提供された医療サービスと、それらの診療報酬の点数の内訳が記載されている。患者が医療機関にかかった場合に提供された医療行為や使用された医薬品、医療機器の価格は診療報酬と呼ばれ、国による公定価格として点数化されている。診療報酬の一部は患者から直接医療機関の窓口で支払いを受ける(原則として3割)が、それ以外の部分はレセプトの審査を経て、患者の加入する医療保険者によって支払われる。医療機関は診療報酬の請求を行うため、診療報酬点数表をもとに、医療サービスの内訳とその診療報酬の点数を記載したレセプトを作成し、審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会)に提出する。審査支払機関は、提出されたレセプトの審査を行い、医療サービスの適切性を評価したうえで保険者に代わって医療機関に診療報酬を支払う。審査後のレセプトは、患者の加入する保険者ごとにまとめられ、審査支払機関から保険者に診療報酬の請求とともに送られる。ここでレセプトは再び保険者から点検を受け、適切であると認められれば保険者から審査支払機関へ請求金額の支払いが行われる仕組みとなっている。なお、患者本人の所定の手続きによる請求があった場合、保険者はレセプトを原則開示することとされている。このように、レセプトは医療機関にとっては診療報酬の請求のための明細書であると同時に、複数のチェックにより、提供された医療サービスの評価のためにも活用されている。平成18(2006)年に診療報酬等の請求方法として追加されたレセプトオンライン請求によってレセプト点検や統計分析のデータ収集の効率化がすすむ一方、導入コストの負担や審査における経済的観点の過度の強化への懸念があげられている。また、介護保険制度においても介護報酬の請求書のことを介護レセプトといわれることがある。
(山下智佳)