リスク・マネジメント

 リスクを組織的に管理(マネジメント)し、損失等のマイナス要因の回避または低減を図るプロセスをいい、組織の価値を維持・増大していくために、将来起こりうるリスクを想定し、リスクが発生した場合の損失等を最小限にするための対応をいう。リスク・マネジメントは一般的に、リスクの①発見・特定、②分析・評価、③対応・対策のプロセスにより行われる。①にあたっては、リスクは平常時の非営利活動における組織運営・管理上リスク、ミッション遂行のための活動上リスクのほか、非常時の環境要因である災害リスク等、多様なリスクが存在するため、多面的な視点で抽出することが重要となる。②にあたっては、リスクの「発生確率」×「顕在化した場合の影響度」の軸等をもって評価を行う。③にあたっては、リスク・コントロール(「回避」、「予防」、「低減」、「共有」)、リスク・ファイナンシング(「移転」、「保有」)等の手法をもって、対応・対策にあたることが可能となる。非営利組織におけるリスク・マネジメントは、企業におけるリスク・マネジメントとその内容に大きく異なるものではない。しかし、非営利組織にとって、組織の運営や継続のためには、企業以上に信頼性や評判が非常に重要となり、レピュテーションリスク対応が重要とされる。特に活動分野・内容によっては、事故やトラブルに遭遇しやすい活動、センシティブな個人情報に接する活動も多くみられ、そのような活動を行っている場合は、より慎重なリスク・マネジメントが求められる。また、非営利組織の活動は、非営利活動であるがゆえに、ボランティアによって支えられている場合が多い。ボランティアは、組織と雇用契約関係にはないものの、非営利活動(ミッション)の大部分を担っており、組織はボランティアに対する責務が生じ、企業とは異なるリスク・マネジメントが求められる。また、会員に対しても同様の責務が生じる。
(鈴木克典)