利害関係集団

 組織が活動していくうえにおいて、直接的または間接的に利害関係をもつ諸主体のことで、ステークホルダー(stakeholder)とも呼ばれる。インタレストグループ(interest group)という用語も同じ意味で使われる場合もあるが、今日ではこれは利益団体という訳語があてられ、特定の集団の利益を目的として政治活動などを行う団体を指すことが多い。企業における利害関係集団としては直接的な取引関係にある主体(取引業者、顧客)のほかに、株主、金融機関、労働組合、地域社会、規制主体となる行政、マスメディアなどがある。非営利組織の場合には、寄付者、助成金提供者、ボランティア、協力者、サービス利用者、地域社会、行政、マスメディア、関係団体などがあるが、非営利組織自体が多様であるため、その組織ごとに利害関係集団も多様となる。企業と比べると非営利組織の場合は、関係性の強い利害関係集団が多くなる傾向がある。これは組織の資源を企業よりも多様な主体に依存することが多いためである。寄付やボランティアなどは企業にはない資源であり、その主体も多様である。また、それゆえに理事会も多様な利害関係集団からメンバーが構成されることが多い。多様な利害関係集団から理事会メンバーを構成することで、幅広い社会の支持を獲得することと、社会的な逸脱などをけん制するガバナンス機能をもたせるためである。多様な主体が関与しながら社会課題の解決を図ったり、政策のプロジェクトのガバナンスを維持するためにマルチステークホルダーという概念が使われることもある。
(吉田忠彦)