予算調製(政府)

 通常、予算は狭義の予算とも呼ばれる歳入歳出予算のことを指しており、1会計年度の行政活動に必要な経費およびそれを賄うための財源を示す財政計画である。自治法における予算の内容として、①歳入歳出予算、②継続費、③繰越明許費、④債務負担行為、⑤地方債、⑥一時借入金および⑦歳出予算の各項の経費の金額の流用という7つの事項が掲げられている。ここでいう予算調製とは、①予算編成方針の決定、②予算要求書の提出、③予算の査定、④予算の組み立ておよび⑤議会への予算案の提出という一連の手続きを意味する。自治法211によれば、普通地方公共団体の長は、毎会計年度予算を調製し、都道府県および指定都市が遅くとも年度開始前30日、その他の市および町村が20日までに、当該予算および政令で定める予算に関する説明書を併せて議会に提出し、議会の議決を経なければならない。これは事前議決の原則である。また、自治法210では、1会計年度における一切の収入および支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入するという総計予算主義の原則が定められている。そして、すべての歳入歳出を単一の予算書に包括させ、かつ予算の調製を1年度1回とすることが適当であるとされている。これは単一予算主義の原則と呼ばれる。しかし、実際には行政活動が広範・多岐にわたるため、特別会計の設置(自治法209)と、補正予算や暫定予算の策定(自治法218)が認められている。さらに、自治法216によれば、歳入はその性質に従って款に大別し、歳出はその目的に従って款項に区分しなければならない。予算科目や予算様式の統一を求め、一貫した秩序をもって系統的に予算を調製しなければならないことは、予算統一の原則とされている。また、自治法208では、各会計年度における歳出はその年度の歳入をもって、これに充てなければならないという会計年度独立の原則が定められている。
(瓦田沙季)