有料老人ホーム

 老人福祉法29で定められた、高齢者が暮らしやすいように配慮された住まいで、食事提供、介護(入浴・排泄・食事等)、洗濯・掃除等の家事援助、健康管理のいずれかのサービス(委託による提供や将来のサービス提供を約する場合も含む。)を行う施設をいう。受け入れ人数の要件はないが、都道府県知事への届出が必要である。一方、老人福祉施設、認知症高齢者グループホーム、一定の要件を満たす高齢者専用賃貸住宅は除外される。有料老人ホームをはじめとする介護施設のなかには、「特定施設」と呼ばれるものがある。行政に運営の届出をして、介護保険法により定められた基準(①人員基準、②設備基準、③運営基準)を満たし、都道府県知事(または市区町村)から事業指定を受けた施設がその対象となる。特定施設の対象となる施設は、①有料老人ホーム、②軽費老人ホーム(ケアハウス)、③養護老人ホーム、④「サービス付き高齢者向け住宅」については、「有料老人ホーム」に該当するものは特定施設となる。特定施設入居者生活介護の指定を受ける特定施設を「介護付きホーム」という。特定施設入居者生活介護とは、特定施設に入居している要介護者を対象として行われる、日常生活上の世話、機能訓練、療養上の世話のことであり、介護保険の対象となる。
 都道府県等は届出の有無にかかわらず入居サービスや介護サービスを提供することが認められるものについては、すべて有料老人ホームに該当するものとして扱い、指導監督を行うこととされている(「有料老人ホームの設置運営標準指導指針について」平成14年7月18日老発第0718003号老健局長通知)。①介護付有料老人ホーム:介護等サービスが付いた高齢者向け居住施設で、介護が必要となっても、当該ホームが提供する特定施設入居者生活介護を利用しながら当該ホームの居室で生活を継続することが可能である。介護サービスを当該ホームの職員が提供する一般型と委託先の介護サービス事業所が提供する外部サービス利用型がある。特定施設入居者生活介護の指定を受けていない場合は「介護付」と表示することはできない。②住宅型有料老人ホーム:生活支援等のサービスが付いた高齢者向け居住施設であり、介護が必要となった場合、入居者自身の選択により、地域の訪問介護等の介護サービスを利用しながら当該ホームの居室での生活を継続することが可能である。③健康型有料老人ホーム:食事等のサービスが付いた高齢者向け居住施設であり、介護が必要となった場合には契約を解除し退去しなければならない。④特定有料老人ホーム:養護老人ホーム等を運営する社会福祉法人等が既存の施設機能の有効活用を前提として設置運営する小規模の施設をいう。養護老人ホーム等に隣接した場所に設置・経営し、定員50人未満、利用料は比較的低廉、入居者から利用料以外の金品を徴収しないことが要件になっている。⑤サービス付き高齢者向け住宅:高齢者の居住の安定確保に関する法律の基準により登録され、介護・医療と連携し、高齢者の安心を支えるサービスを提供するバリアフリー構造の住宅で、有料老人ホームの定義に当てはまるものをいう。
(船越洋之)