有償ボランティア

 普通よりも安い対価で、自発性に基づいて非常勤で働く人のことである。対価の額は最低賃金を下回っている場合も多い。活動の当初は無償であった在宅福祉サービスは、サービスを安定的、継続的に維持するために、有償制への移行は避けられなかった。移行期には有償制は費用を補うものか、労働に対する感謝の金額か、また多くの場合、時給換算すれば最低賃金以下であるが、それでも給与として捉えるべきなのかといった激しい議論があり、その位置づけは、現在も定まってはいない。基本的に、ボランティアは無償であるとの認識もあるが、厳密に考えると無償性についてはボランティア活動の道具代や昼食代金、食事や茶菓などの提供を受けている場合などは、これが完全な無償かどうかについて疑問が残り、一部でも費用の負担を受けている場合には有償ボランティアとの解釈も成り立つ。参照すべき判決は、特定非営利活動法人流山ユーアイネット(ネット)の流山訴訟がある。この訴訟はネットが行っていた有償ボランティア事業は、法人税法上の収益事業に該当するか否かの判断を問うものであった。東京高等裁判所は、平成16(2004)年11月17日、課税相当との判決を下し確定した。この判決では、法人の行う有償ボランティア事業(ネットでは1時間当たり800円)による収益は、法人税法上の請負業に該当するとしたが、有償ボランティア各人に支払われる時間数に応じた金銭(ネットでは1時間当たり600円)が給与なのか、お礼なのかについては判断していない。
(早坂 毅)