遊休財産額(公益)

 公益目的事業または収益事業その他の業務もしくは活動のために現に使用されておらず、かつ、引き続きこれらのために使用されることが見込まれない財産の合計額のことをいい、実質的には、目的や使途の定めがないまま保有している財産の額である。公益法人制度における認定基準のなかの1つに遊休財産額規制がある。認定基準とは、公益認定法5に定められた以下の基準である。公益法人としての認定を受けるための基準であり、かつ、継続して毎年度、満たすことが求められる基準で、公益法人の目的や事業の内容に関するもの、法人の機関に関するもの、法人の財務に関するもの、法人の財産に関するものがあるが、このうち法人の財務に関するものの1つとして、遊休財産額が一定額を超えないと見込まれることという基準があり、これが、遊休財産額保有の制限である。遊休財産額の保有の制限とは、公益法人の各事業年度の末日における遊休財産額がその年度の公益目的事業の実施に係る費用の額を超えないことという制限である(公益認定法16)。具体的には、遊休財産額は、遊休財産=資産-(負債+基金)-(控除対象財産-対応負債)で算定する(公益認定法施行規則22Ⅱ)。 上記算定式中の控除対象財産とは、保有する財産のうち、その使用目的が明確に決まっている財産であるため遊休財産からは除かれるもので、以下の6つが規定されている(同法施行規則22Ⅲ)。①公益目的保有財産、②公益目的事業を行うために必要な収益事業等その他の業務または活動の用に供する財産、③①②に当たる特定の財産の取得または改良に充てるために保有する資金、④特定費用準備資金、⑤寄附その他これに類する行為によって受け入れた財産であって、当該財産を交付した者の定めた使途に従って使用しもしくは保有しているもの、⑥寄附その他これに類する行為によって受け入れた財産であって、当該財産を交付した者の定めた使途に充てるために保有している資金である。具体的に①公益目的保有財産は、公益目的事業財産の一部であり、公益目的事業財産を支出することで取得した財産や不可欠特定財産(公的目的事業を行ううえで不可欠の財産であり、定款にその旨、維持および処分の制限を規定したもの)、法人自ら公益目的事業に使うことを決めた財産をいう。また、③および④は、法人が自ら目的を定めて計画的に積立ておよび取り崩しを決定している積立金であり、一定の要件を満たすものである。④については、積立て時に遊休財産額の保有制限の条件となる公益目的事業のための費用に、積立額が含まれることが定められている。また、⑤および⑥は、外部の資源提供者が法人に寄附等をした財産であり、資源提供者により使途が決められているものである。このうち、①②⑤については、継続して当該財産を保有し続けるものであり、③④⑥は、資金として広い意味で待機しているものであるため、目的により費消していくものである。また、遊休財産額の保有の制限の金額については、正味財産増減計算書の公益目的事業費の額に、調整項目を加減算して算定する。調整項目は、上記の④のほか、商品等の譲渡取引がある場合には原価相当分を加算すること、および引当金の取崩額、財産の譲渡損、評価損等がある場合は、減算して保有の制限の金額を算定する。
(松前江里子)