目標管理制度

 業績管理および人事管理の手法の1つである。目標管理制度が広く知られるようになった契機は、Drucker, P. F(. ドラッカー)が『現代の経営』のなかで、「目標による管理と自己統制」(management by objec-tives and selfcontrol)という経営管理上の原理を提示したことに始まる。この原理は、①全社から各部門、個人に至るまでの目標の連鎖が成立し、組織の諸活動が同じ方向に向けられていること、②個人は指示や命令ではなく、自らの意思によって組織に貢献できるようになること、を示している。目標の設定や実行、評価において個人目標の設定と結果に基づく評価とのシステム化が、組織業績と従業員満足の双方を高めるというものである。目標管理制度は、成果や業績による人事評価を行う成果主義が重視されるようになるなかで普及していった。目標管理制度では目標設定に個人が参加し、進捗管理や評価の際にも関与するため、人事考課の公平性や納得性を高める効果があると考えられている。目標管理制度に関する代表的な研究である目標設定理論においても、困難で明確な目標の設定、目標の達成度に関するフィードバック、目標設定への参加が個人の自己効力感やパフォーマンスを高めることが指摘されている。しかしながら、目標管理制度の本来の意義が見失われがちになり、目標管理が職種や階層の違いなどを考慮せず、一律に運用されていることもあるなど、十分に目標管理制度が運用できていない側面もある。また、非営利組織では、明確な目標を事前に定めることが難しい不確実な仕事に取り組んでいることも多く、仕事の特性に配慮して運用する必要がある。
(深山誠也)