免税組織(米)

 アメリカ内国歳入法(IRC)501(c)に定める組織は、免税組織と呼ばれる。免税組織は、IRC502(営業行為が主たる活動目的である組織)または503(禁止取引に従事した組織に対する免税の否認)に該当する場合を除き、その課税が免除される。IRC501(c)(3)は、免税組織を設立・運営する際の免税の目的を定めており、①慈善、②宗教、③教育、④科学、⑤文学、⑥公共安全試験、⑦国家的または国際的なアマチュアスポーツ競技者の育成、⑧児童または動物の虐待防止をあげている。免税組織として連邦所得税の課税が免除されるためには、組織がえた所得が私的な資金拠出者や個人に対する利益にならないことが必要であり、立法に影響を与えるロビー活動や政治選挙活動を行う活動的な組織であってはならない。免税組織は、IRC509(a)(1)または(a)(4)のいずれかに該当する場合は公益慈善組織となり、そのいずれにも該当しない場合は私立財団となる。
 公益慈善組織とは、通常つぎのようなものである。教会、病院、病院に関連した税制適格の医療研究組織、学校、短期大学および大学。資金立ち上げの活動プログラムを有するとともに、一般大衆、政府機関、企業、私立財団や公益慈善組織を含む、広範囲にわたる多くの資金源から寄附を受ける組織。その組織の免税の目的を推進する活動を行うことで所得を受領する組織。実在する公益慈善組織を支援する関係にある、活動的な機能を有する組織。これに対して、私立財団とは単一の家族や会社からの贈与のように、おもな資金源が単一である場合が一般的である。私立財団の主たる活動は、慈善活動を直接行うのではなく、他の慈善組織や慈善活動を行う個人に対する資金助成を行う場合が多い。
 ある組織が、IRC509(a)(1)または(a)(4)のいずれかに該当することにより私立財団の定義から外れたとしても、私立財団ではない旨の様式1023(免税認定申請書)を内国歳入庁に提出しない場合には、原則としてその組織は私立財団とみなされる。この申請書は、組織を設立した月の末日から27か月以内に内国歳入庁に提出する義務があり、免税の資格を有する期間中、公衆の閲覧に供さなければならない。公益慈善組織は、教会やその関連組織、および特定の政府組織や政治組織を除き、毎年、収入や支出の状況、活動内容、組織概要等に係る情報を記載した免税組織報告書を内国歳入庁に報告しなければならない。しかし、年間総収入金額が25,000ドル以下の場合は、電子申告を条件に、電子通知書によることができ、また、年間総収入金額が20万ドル未満かつ課税年度末日現在の総資産額が50万ドル未満の場合は、略式の報告書によることができる。一方、すべての私立財団は、毎年、収入や支出の状況、活動内容、組織概要等に係る情報を記載した私立財団申告書を提出しなければならない。
 なお、免税組織にはその主たる設立目的に関連しない事業から得られた所得に対して連邦所得税が課せられる。また私立財団には、投資純所得に対して消費税が課せられる。
(神山直規)