無償の役務提供

 非営利組織に対する役務提供(サービス)を無償で行うことである。すなわち、サービスの寄付である。無償の役務提供には、プロボノなど職業的専門性のある役務の提供と、比較的単純なボランティア作業、たとえば郵便物の発送や袋詰め作業などに大別される。NPO法人日本ファンドレイジング協会が行った試算(寄付白書2013)によれば、時間による活動規模は69.6億時間、金銭換算では代替資産法で11.3兆円と推計されている。これは平成30(2018)年の名目GDP548.4兆円のおおよそ2%である。NPO法人日本病院ボランティア協会は、会員である団体から、活動時間集計表を徴収することにより、年間の活動時間数を計測している。公益法人会計基準は、無償の役務提供の取り扱いについて言及がないが、公益目的事業費率積算上は加算可能である。NPO法人会計基準では、「ⅦNPO法人に特有の取引等」において、「ボランティアによる役務の提供の取扱い 無償又は著しく低い価格で活動の原価の算定に必要なボランティアによる役務の提供を受けた場合で、提供を受けた部分の金額を合理的に算定できる場合には、その内容を注記することができる。なお、当該金額を外部資料等により客観的に把握できる場合には、注記に加えて活動計算書に計上することができる。」としている。アメリカFASB財務会計審議会(米)FAS No. 116においては、特殊な技能を必要とする専門家としての役務の提供のみを財務諸表上認識することとしている。
(早坂 毅)