民法34条

 旧民法において、公益法人についての学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団または財団であって営利を目的とするものは、主務官庁の許可をえて法人とすることができる、との規程のことである。社団法人が法人格をえるためには、旧民法37の定款等を作成し、必要な事項の記載の義務を負うことによって設立することにより自然人と同等な権利能力を有することができた。旧民法34により設立された民法法人(社団・財団法人の設立)においては、認可主義により主務官庁の許可を受けて法人格を取得するので、主務官庁の制約が多くあり、公益を目的とした法人の設立が難しかった。平成18(2006)年の改正により、公益を目的とした法人設立については公益法人制度改革関連三法の施行にゆだねられ、旧民法34は法人格を有する法人の権利能力について制限する改正となった。公益法人の概念についても、一般社団・財団法人のうち「公益目的事業」を行う場合には公益認定法により、行政庁から公益認定を受けた一般社団・財団法人が「公益法人」となることができるようになった。
 従って、旧民法34で設立された公益法人は営利法人の対置概念があったが、現在の公益法人は一般社団・財団法人のうち「公益認定」を受けた法人が公益法人として成立される。法人は法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し義務を負う。法人が成立すると法人格を有し、その法人はその目的の範囲内において権利を取得すると同時に義務を負担する。この権利・義務の取得と負担は、ほぼ自然人と同等の権利能力を有する。しかし法人は、すべてにおいて自然人と同等ではなく、「その目的の範囲内」とされる法人の権利能力もまた限定されたものと解釈することができる。また、法人の権利能力を制限されると解釈される「民法34の目的の範囲内」の解釈が重要となる。法人格を有した法人は社会的に実在するが、それは法人の社会的作用がその目的の範囲内に限定されるものとしていることから、法人の行為能力もまた限定されたものと解釈することができる。
(戸塚光博)