従って、旧民法34で設立された公益法人は営利法人の対置概念があったが、現在の公益法人は一般社団・財団法人のうち「公益認定」を受けた法人が公益法人として成立される。法人は法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し義務を負う。法人が成立すると法人格を有し、その法人はその目的の範囲内において権利を取得すると同時に義務を負担する。この権利・義務の取得と負担は、ほぼ自然人と同等の権利能力を有する。しかし法人は、すべてにおいて自然人と同等ではなく、「その目的の範囲内」とされる法人の権利能力もまた限定されたものと解釈することができる。また、法人の権利能力を制限されると解釈される「民法34の目的の範囲内」の解釈が重要となる。法人格を有した法人は社会的に実在するが、それは法人の社会的作用がその目的の範囲内に限定されるものとしていることから、法人の行為能力もまた限定されたものと解釈することができる。
(戸塚光博)