みなし寄附金

 法人税法上の概念であり、公益法人等が寄附金の損金不算入規定を適用するに際して、その収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額を、その収益事業に係る寄附金の額とみなすとされているものである(法人税法37Ⅴ)。これにより、外部の営利法人等が公益法人等に対して寄附を行う場合にかぎらず、公益法人等が自ら行う収益事業の所得を収益事業以外の事業のために支出する場合にも、一定の限度額の範囲内で損金算入が可能となる。 みなし寄附金制度が適用される法人は、法人税法上の公益法人等とされている(法人税法37Ⅴ)が、この公益法人等の範囲から非営利型法人である一般社団・財団法人は除外されている(法人税法37Ⅳ)。みなし寄附金の対象となる支出は、公益法人等の行う事業のうち、収益事業以外の事業のため支出した金額とされている。ただし公益社団法人または公益財団法人にあっては、その収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業で公益目的事業のために支出した金額に限定されている(法人税法37Ⅴ、同法施行令77の3)。公益法人等の寄附金の損金算入限度額は、つぎのとおりの特例がある(法人税法施行令73Ⅲ)ので、みなし寄附金についてもこの規定の適用を受ける。①公益社団法人または公益財団法人:当該事業年度の所得の金額の50%相当額。②学校法人、社会福祉法人、更生保護法人または社会医療法人:当該事業年度の所得の金額の50%相当額(年200万円に満たない場合には、年200万円)。③①②以外の公益法人等:当該事業年度の所得の金額の20%相当額。
 さらに、公益社団法人または公益財団法人のみなし寄附金については、確定申告書等に一定の書類の添付があることを条件に、当該事業年度のその公益目的事業の実施のために必要な金額(公益法人特別限度額)が上記①の金額を超えるときは、公益法人特別限度額に相当する金額を損金算入限度額にすることとされている(法人税法施行令73の2)。
(中村雅浩)