満期保有目的の債券

 満期まで所有する意図をもって保有する社債や国債などの債券のことをいう。「満期まで所有する意図をもって保有する」とは、償還期限まで所有するという積極的な意思とその能力に基づいて保有することをいう。満期保有目的の債券の要件は、金融商品会計に関する実務指針第69項に規定される。保有期間が漠然と長期であると想定して保有期間をあらかじめ決めていない場合、または市場金利や為替相場の変動等の将来の不確定要因の発生いかんによっては売却が予測される場合には、満期まで所有する意思があるとは認められず、また、満期までの資金繰り計画等からみて、または法律等の障害により継続的な保有が困難と判断される場合には、満期まで所有する能力があるとは認められない。なお、満期まで所有する意図は取得時点において判断され、いったん他の保有目的で取得した債権について、その後保有目的を変更して満期保有目的の債券に振り替えることは認められない。満期保有目的の債券は、取得原価をもって貸借対照表価額とするが、債券を債券金額より低い価額または高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない。
(羽藤憲一)