第2に、広い自発的な市民参加の理念は、ボランティアに関して、職務として業務を担う有給職員や専門家による支配との関係でも問題となる。有給職員や少数の資格保持ボランティアによる業務遂行は能率的持続的なサービス提供をもたらす(たとえば、震災の緊急支援等)が、サービス受給者の自治や(単なる手足ではない)実質的な参加を欠いたり幅広い市民的能力の向上を視野に入れない活動はNPOとしての活力を失わせることもある。ボランタリズムは、市民社会セクターの他セクター間の問題としても、非営利組織の内部問題としても、つねに核心的な争点とかかわる。「身を労するかわりに、金を出してみるがよい。やがて諸君の手には鉄鎖が返ってくるであろう。/本当に自由な国では、市民たちは万事自分の手で行い、なに一つ金ずくではすまさない。」(『社会契約論』)とRousseue,J-J.( ルソー)は喝破した。ボランタリズムは、自由への人間の永遠の希求と相即不離である。
(岡本仁宏)