ボランタリー・アソシエーション

 さまざまな文脈で使用される用語であるが、とりわけ重要なのがフランス人のTocqueville,A.(トクヴィル)が19世紀アメリカ社会をみて、アメリカの民主主義の鍵としてあげた団体の概念である。トクヴィルは、フランスでは政府が、イギリスでは大領主が見出されるようなあらゆる場合に、アメリカでは参加型の結社が見出されることに感嘆した。トクヴィルは自発的結社を民主主義との関係で論じたことから、民主主義や参加の文脈で後に、Bellah, R. N.(ベラー)らに大きな影響を与えた。他方で、定義はあいまいであり、ほぼ非営利組織の概念と重なっているが、「ボランタリー」の部分を強調する論者からは、一部の強制加入の団体を排除したより狭い概念として使用されている。近年では市民参加の観点からこの用語が頻繁に用いられている。また、直訳すれば、意思に任せる社団となり任意社団とも訳せ、任意団体すなわち、法人化されていない社団として解される場合もある。この場合には組織論における「組織」以前の「よりボランタリーな集団」として認識されることがありうる。
(出口正之)