ホスピス

 「施設としてのホスピス」、つまり「緩和ケア病棟」という形態で発展してきた。厚生労働省は「緩和ケア病棟」と称しているが、日本では「緩和ケア病棟」=「ホスピス」という同意語の考え方である。たんなる延命処置は行わず苦痛緩和やQOL(Quality of Life;生活の質)向上に繋がるための積極的ケアであり、かぎられた時間を死に場所ではなく最後までその人らしく生きるための場所、どう生きるかを考える場所でもあり死にゆく人とその家族に対する全人的ケアといえる。おもにがんの末期患者の全人的苦痛を、チーム・アプローチにより医師、看護師、ソーシャルワーカーなど専門職と聖職者、訓練を受けたボランティアで構成するチームケアで対人的、経済的、スピリチュアルな問題に対処するための支援を実践する。特にグリーフケアでは死別悲嘆に嘆く家族に対して、死を直面し死の到来に対処する心構えなど家族自身の役割や必要な支援をえる方法なども実践される。ホスピスでは、病院内で行われる形式、ホスピスのみを行う施設、病院内の緩和ケアチームによる支援、在宅ホスピスなどの分類がある。昭和56(1981)年当初浜松に「聖隷ホスピス」が、昭和59(1984)年「淀川キリスト病院ホスピス」が開設された。
(加藤友野)