ホイッスルブロー

 広義において、組織の(現・元)成員が、有効な対策を行える個人や組織に対して、雇用者の不正や違法行為を公開することを指しており、その行為は広く、何らかの報告をする行動として捉えられている。組織内におけるその行動は、内部通報と内部告発に分かれている。内部通報は、組織内部での、不正の解決を図るために行われる行動である。一方で、内部告発は、外部による解決を図るために行われる行動であり、組織外部に対して告発をする行動である。通常、内部告発をする労働者は、内部通報をしても効果がなく、組織によるサポートや解決の機会がえられていないという不満のもとに、内部告発へと至るとされる。ホイッスルブローを行うかどうかは組織コミットメントとの関係で議論がなされてきた。ただそれは、線形的な関係のみではなく、非線形関係(逆U字)も想定されており、組織コミットメントとホイッスルブローとの関係は、十分には明らかになっていない。内部通報と内部告発は通報・告発する対象が異なる行動ではあるが、いずれの行動についても組織のコンプライアンス体制、あるいは管理責任が問われる問題であり、社会的な支持が認められる行動となっている。そのため、通報者・告発者の保護が重要視され(例:雪印食品の牛肉偽装事件における西宮冷蔵)、日本においては、内部通報・内部告発を公益通報という手続きに整理し、公益通報をした労働者を保護することにより、公益を図るための内部通報・内部告発を確保し、組織における不祥事による国民の被害拡大を防ぐことを目的とした公益通報者保護制度が、公益通報者保護法(平成16年法律第122号)のもと、整備されている。
(野口寛樹)