プライベート・ファイナンス・イニシアチブ

 民間資本による社会資本整備である。道路、橋梁などの公共施設、自治体の庁舎などの公用施設、教育文化施設や病院などの公益的施設等の建設やその運営などを民間事業者によって行わせるものである。たんなる民間委託ではなく、計画の段階から民間事業にゆだねることが多く、民間事業者のノウハウやアイデアを公共サービス提供に導入することが目指される。資金はその事業実施によるキャッシュ・フローを見積もって融資を受けるプロジェクト・ファイナンスによって調達される。また事業の受け皿として特別目的会社(SPC:Special Purpose Company) がつくられ、事業に関連する複数の事業者によるコンソーシアムによって事業が運営される。発注者の立場となる自治体などは、その事業内容が契約どおりに推進されているか、成果を生んでいるかを監査することになる。1980年代のアメリカやイギリスでのいわゆるニュー・パブリック・マネジメントの流れのなかで民営化の手法の1つとして登場したが、完全な民営化ではなく、事業主体はあくまでも自治体などの行政側にあり、公民連携(PPP:Public Private Partnership)の一形態である。日本においても「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(通称PFI法)(平成11年法律第117号)が平成11(1999)年7月に制定され、自治体を中心に実施されるようになった。
(吉田忠彦)