ファンドレイジング

 非営利組織が活動のための資金を、個人、企業、他の非営利組織、政府などから集める行為の総称である。営利組織(企業)の資金調達にもこの語が使われることがあるが、一般的には、ファンドレイジングとカタカナ表記をして非営利法人の資金調達を指す場合が多い。非営利組織の資金源は、会費、寄付金、事業の対価収益、助成金、補助金、運用益、借入金などがあるが、資金の性格からつぎの3つに分類されることがある。すなわち、①①「対価」とは、非営利法人が提供するサービスや商品の代価としてえるものであり、事業の対価収益、運用益などがこれに該当する。②「社費」は、非営利組織の運営にあたり、議決権をもつ会員が構成員として義務的に支払う運営経費であり、正会員の会費などである。③「寄付金」とは、任意に提供された原則として見返りを求めない資金のことであり、寄付金、助成金、補助金などが該当する。ファンドレイジングという言葉は、狭義にはこの③「寄付金」を集めることを意味する場合が多いが、広義には、①「対価」、②「社費」、③「寄付金」のすべてを含んでいる。また、非営利組織の資金は、使途の自由度と継続性の観点から分類することができる。一般に、使途の自由度と継続性が高いのは、①「対価」と②「社費」である。これらの資金は、急激に増えることは少ないが、逆に、急に減ることも少ない。非営利法人の運営を支える基礎的な資金であり、法人運営の固定費はできるだけこれらの資金で賄うことが望ましいとされる。非営利法人の資金収入構成において、①「対価」と②「社費」の割合が高いほど、安定した運営ができるといえよう。③「寄付金」については、それぞれの資金の実態により分類する必要がある。寄付金の場合は、使途制約のない寄付金か制約がある寄付金かにより、自由度が大きく異なる。また、助成金や補助金の場合は、組織運営の支援的資金かそれとも事業の委託的資金かにより、やはり自由度に違いが生じる。自由度の高い資金が多いほど法人運営の安定性が高まることはいうまでもない。ただし、③「寄付金」については、急激に増加することもあるが、一気になくなることもある。組織運営をこれらの資金に依存することには注意が必要である。それぞれの資金の性格を理解したうえで、安定した組織運営を行うためにバランスの取れたファンドレイジングを行うことが重要となる。
(五百竹宏明)