貧困ビジネス

 ホームレス、日雇い派遣労働者、生活保護受給者等の貧困等要援護者を標的にして利益を稼ぐ悪質な事業行為全般をいう。ただし、社会的企業が行う貧困等要援護者を対象にした生活支援事業を含む場合もある。貧困ビジネスの問題点として、対象者の無知につけこんで搾取し貧困から抜け出せなくしている点、利益をえる側のみに都合のよい仕組みになっている点、必ずしも違法とはいい切れない場合もある点、一見すると貧困等要援護者を救済するかのようにみせかけている点等があげられる。例として以下をあげておく。①偽装請負:実態は労働者派遣であるにもかかわらず、業務処理請負等の請負契約と偽装して行われること。自社に所属していない労働者に対して指揮命令が行われるため、低賃金で働かせる等自社にとって都合のよい有利な条件で労働者を使役できる。②多重派遣:派遣労働者が派遣先からさらに別の企業等に派遣されること。派遣労働者の賃金は中間の派遣会社にピンハネされてしまう。③ゼロゼロ物件:敷金と礼金がゼロの賃貸物件のこと。低所得者に対し、家賃滞納が少しでも発生すると鍵を交換して直ちに部屋から締め出し、後から高額の違約金を請求する。④無料低額宿泊所:ホームレスを無料定額宿泊所に入所させ、生活保護を受けさせるが、受給者の預金通帳等を管理することで、生活保護費からさまざまな名目の経費を差し引き搾取する行為。NPO法人が関係するケースが多いとされる。⑤リセット屋:多重債務者や自己破産者に偽の養子縁組をさせてさらに借金を重ねさせ、借金のほとんどを手数料として搾取する。⑥保証人ビジネス:インターネットを通じて保証人を必要とする人と保証人になってくれる人をマッチングさせるビジネスのこと。手数料を支払ったのに肝心の保証人を紹介されない等のトラブルがある。⑦医療関係:病院がホームレス患者を囲い込み過剰診療を行うケースやホームレス患者を病院間で何回も転院させることで過剰な診療報酬を受け取るケース等がある。
(船越洋之)