病床機能報告制度

 医療法30の13に基づき、各医療機関が保有する病床の機能等について都道府県に報告する制度のことであり、各都道府県が医療機関からの報告内容をとりまとめて公表したデータを、厚生労働省が全都道府県分を集計し公表するものである。目的としては、地域における病床機能の分化および連携推進のために、報告対象医療機関における病床について、その有する病床が担っている医療機能の現状と今後の方向を選択し、病棟単位で都道府県に報告し、医療機関の自主的な取り組みをすすめるものとしている。また、将来的な医療提供体制確立のための基礎資料として活用するデータソースとなっている。地域医療構想推進の一環として行われていることが分かる。報告対象となる医療機関は、毎年7月1日時点で一般病床および療養病床を有する病院および有床診療所(ただし、一部の医療施設は対象外)である。また、類似調査として3年に1度調査している医療施設調査とも対象は異なる。報告内容は、構造設備・人員に関する項目と、具体的な医療の内容に関する項目に分類される。設備構造・人員に関する項目としては、以下の内容を報告する(平成30[2018]年度分)。①病床機能(現在/今後の方向)、許可病床数、稼働病床数、病床区分、人員配置、算定する入院基本料・特定入院料、DPC群、救急医療体制、高額医療機器の保有状況、退院調整部門、入院患者の状況。
 具体的な医療の内容に関する項目は以下の内容を報告する(平成30年度分)。①幅広い手術の実施、がん・脳卒中・心筋梗塞等への治療、重症患者への対応、救急医療の実施、急性期後・在宅復帰への支援、全身管理、疾患に応じた/早期からのリハビリテーション、長期療養患者・重度の障害者等の受け入れ、有床診療所の多様な機能。ただし、報告内容については、制度開始以後、継続的な改善が図られているものの、病棟単位での報告となるため、主たる機能を自主的に報告させており、医療機能を選択する際の判断基準について医療機関に判断がゆだねられていること、病棟単位における医療提供に係る情報について、負担等を考慮し報告内容について年次、月次のデータが混在しており、定量的基準を示す内容については限界があること、未報告の医療機関が一定数存在しているなど、引き続き改善されていくと考えられている。
(上村知宏)