病床機能

 医療機関が入院の必要な患者を受け入れる病床において、どのような状態、疾病段階の患者に医療を提供している、もしくは提供できるかあらわす考え方である。疾病が経過するに従い、同じ疾病でも患者の状態や必要とされる医療内容、医療提供の目的等が異なってくるが、どの段階の医療を提供する病床なのかによって病床機能が決められる。病床機能を決める疾病の経過は、以下のとおりである。疾病にかかった初期で症状があらわれ、急激に健康が損なわれる時期を急性期といい、状態の早期安定化を目指す。急性期を脱し、身体機能の回復を図る時期を回復期といい、医療の目的は合併症の予防やリハビリテーションに移行する。疾病や患者の状態によっては病状が安定しても治癒そのものは困難で、悪化防止や身体機能の維持を目的とした長期にわたる医療提供が行われ、慢性期に分類される。これらが疾病の経過による医療機能分類のおもなものであるが、ほかにも回復期とほぼ同義で用いられる亜急性期、ポストアキュートという分類や、在宅、介護施設での急な症状悪化で入院を要する、急性期の1つとしてのサブアキュート、治癒の見込みがなくターミナルケアや生活の質の向上を目的とする終末期などがある。このように、病床機能を決める医療機能の分類はさまざまであるが、平成26(2014)年の第6次医療法改正に基づいて創設された病床機能報告制度では、一般病床、療養病床の機能は高度急性期、急性期、回復期、慢性期に制度上区分された。高度急性期の病床とは、救命救急病棟や集中治療室等、急性期のなかでも高度な設備で診療密度の高い医療を提供する、いわゆる3次医療機能を担う病床を想定している。なお、病床機能報告制度とは、医療機関の担っている現在の病床機能と今後担う方向性を病床単位で都道府県に報告することを義務づけたもので、病床機能の情報は医療計画により、医療提供体制整備のために活用される。
(山下智佳)