上述のように、非営利組織における非効率性は、営利組織における効率の尺度を単純に適用できない問題が内在していることから生じる。非営利組織は、利益非分配による事業の継続を基本にするのであるから、数値的側面では、非効率か否かではなく収支均衡しているかどうかの観点から事業の成否を考えることが妥当である。最近、この問題を解消するために、事業や活動の結果として生じた社会的、環境的なアウトカムを測定する社会的インパクト評価が開発されている。これが非営利組織の非効率性に内在する問題を解決できる糸口になる可能性がある。
(大原昌明)