非課税・不課税(消費税法)

 消費税は、国内において事業者が行った資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。)、特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。)および保税地域から引き取られる外国貨物を課税の対象としている。その一方で、消費税法別表第1に掲げる資産の譲渡等および別表第2に掲げる保税地域から引き取られる外国貨物については、消費になじまない取引であること、あるいは、社会政策的な見地から、消費税を「非課税」としている(消費税法6)。また、消費税は、事業者による商品の販売、役務の提供等の各段階において課税し、経済に対する中立性を確保するため、仕入れに係る消費税額の控除方式により課税の累積を排除している(税制改革法10Ⅱ[昭和63年法律第107号]、消費税法30)。しかし、非課税取引は、資産の譲渡等に対して消費税が課税されていないため、仕入れに係る消費税額として控除することができない。消費税は、資産の譲渡等に該当する事業として対価をえて行われる資産の譲渡および貸付けならびに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価をえて行われる資産の譲渡もしくは貸付けまたは役務の提供に類する行為として一定のものを含む。)、また、特定資産の譲渡等に該当する事業者向け電気通信利用役務の提供および特定役務の提供等を課税の対象とし、流通過程を通じ事業者から消費者に提供される財貨やサービスの消費に税負担を求めるものである。そのため、寄附金、補助金その他資産の譲渡等の対価以外の収入は、消費税の課税対象外取引となり、「不課税」という通称が使用されている。非課税と不課税は、消費税が課されていないという点で共通しているが、非課税が課税売上割合の計算の基礎となるのに対し、不課税のうち一定のものが特定収入として公益法人等の仕入れに係る控除税額の計算の基礎となる等、納付すべき消費税額の計算において区分管理が求められる。
(苅米 裕)