非営利組織の経営管理

 Barnard, C. I.( バーナード)によれば、人間が個人として達成できないことを他の人々との協働によって達成しようとしたときに組織が生まれる。そして、異質な人々の努力を組織の効率的な目標達成に向けて調整する必要性が生じたときに、作業活動とは独立した固有の経営管理という活動が生み出される。従って経営管理と組織は表裏一体の関係にあり、組織があれば必ず経営管理が必要になる。Chandler, A. D. (チャンドラー)は、「経営管理とは、経営者あるいは管理者がその環境状況に適合した資源配分、統合、業績評価を行いながら、組織目標を達成する活動である。」と述べている。これらバーナードやチャンドラーの経営管理に関する指摘は、営利企業だけでなく非営利組織についてもそのまま当てはまる。経営管理は非営利組織においても不可欠な活動である。Drucker, P. F. (ドラッカー)も著作のなかでつぎのように述べている。「この半世紀のあいだに、経営管理は営利企業に限ることなく、あらゆる種類の組織が必要とすることがあきらかになった。」。一方、ドラッカーは、非営利組織と営利企業の経営管理に関してつぎのように述べている。「営利企業の経営管理が非営利組織にそのまま移植できる訳ではない。非営利組織は営利企業とは異なる経営管理を必要とする。しかし非営利組織が、営利企業の経営管理の中に経営管理の基本形を見出そうとすること自体は正しい。」。堀田和宏によれば、このような非営利組織の経営管理はつぎの10の特徴をもっている。①ガバナンスは複雑であり不透明である。②理事会等の役員会の能力が欠けていることが多い。③専門家集団が経営権を保有することが多い。④資源の配分は政治プロセスによって決定される。⑤予算配分主義がとられる。⑥安定性志向である。⑦組織構造の形態は集権的な職能組織に限定される。⑧業績の評価過程が異なる。⑨経営者は自由裁量の行動をする機会が多い。⑩経済的配慮よりもイデオロギーで経営される。
(小島廣光)