パターナリズム

paternalism
 温情主義や父権主義とも訳されることがあるが、近年においてはカタカナ表記が一般的である。権力や能力のある者が弱い者に対して「あなたのため」として干渉ないし温情的に扱うことをいう。法哲学の分野では、Dworkin,G.( ドゥオーキン)がパターナリズムを「強制される者の福利、善、幸福、必要、利益あるいは価値になるという理由だけで正当化される当該者に対する自由な行為への干渉」と定義している。たとえば、シートベルトの着用規制などがよく例にあげられる。非営利研究では非営利組織の弱点として、資格のない会員を排除できないなどの「パターナリズム仮説」をSalamon, L. M. (サラモン)が提唱している。また、旧制度における主務官庁の公益法人に対する「箸の上げ下ろしの指導」はパターナリズムの典型例としてされていた。「箸の上げ下ろしの指導」をなくすとして始まった公益法人に対する監督は具体的な問題事例が発生するに従って、パターナリズムの度合いが増大していく傾向が指摘されており、そのことは「パターナリズム漸増仮説」と呼ばれている。
(出口正之)