廃用症候群(生活不活発病)

 「身体の不活動状態により生ずる2次的障害」として体系化された概念であり、不動や低運動、臥床に起因する全身の諸症状を総称する。廃用症候群の要因は、おもに内的(1次的)要因と外的(2次的)要因とに分類される。廃用症候群の症候は、筋骨格系、循環・呼吸器系、内分泌・代謝系、精神神経系など各臓器の症状として多岐にあらわれ日常生活自立度を低下させる。内的(1次的)要因は、罹患している疾患に付随した身体症状、精神症状により不動の状態が続く場合(たとえば、麻痺、疼痛、息切れ、抑うつ等)であり、外的(2次的)要因は、外部環境が身体活動を制限しているために不動の状態が続く場合(たとえば、ギプス固定、安静の指示、介助者の不在等)である。身体の動きの表出・持続・調整には、筋骨格系、循環・呼吸器系、内分泌・代謝系、精神神経系の多臓器がかかわりあっており、内的要因、外的要因を契機に各臓器の不活動状態が長期化すると、諸臓器の機能低下の悪循環が生じる。またそれに伴い、多様な生理的変化が進行し、多彩な症候があらわれるようになる。
(鷹野宏行)