配当可能剰余金(中小企業協同組合)

 前期繰越損失がある場合にはこれを当期利益額により塡補し、損失塡補後の金額から準備金および繰越金を控除した後(任意積立金を行う旨を定款で規定している場合にはこれを控除した後)の残額として算定される金額のことである(中協法59Ⅰ)。この残額について組合員に配当することができることになるが、配当することにつき必ず定款に定めなければならない。配当の方法には、事業利用分量配当(企業組合の場合は従事分量配当)と出資配当がある(中協法59Ⅱ)。前者は、組合の共同事業の手数料、使用料などの過徴額の割り戻し的性格を有するもので、各組合員が当該事業年度において支払った手数料の額や施設利用分量を基準に行う。複数の事業を行う組合が当該配当を実施する場合、事業別損益計算を行わなければならない。法人税法上、利用分量配当は原則として損金の額に算入できる(中協法9、法人税法60の2)。一方で、企業組合の従事分量配当は、原則として損金算入が認められず、通常の利益配当として取り扱われる。配当する場合には源泉徴収を行う必要がある。出資配当は、出資金に対する金利的な性格を有するもので、各組合員の払込済出資額に応じてなされる。配当額は払込済出資額の年1割以内(企業組合は年2割以内)と定められている。
(高橋里枝)