配当可能剰余金

 会社法の規制を受ける営利法人は、配当などについては、その原資となる剰余金について分配可能額という概念によって上限が規制されている。他方、中協法による規制を受ける場合には、会社法のもとでの規制とは内容が異なっており、中協法59でつぎのような規制がある。同法59Ⅰでは、「組合は、損失をてん補し、第58条第1項の準備金および同条第4項の繰越金を控除した後でなければ、剰余金の配当をしてはならない。」という規定があり、また同法59Ⅱでは、「剰余金の配当は、定款の定めるところにより、組合員が組合の事業を利用した分量に応じ、又は年一割を超えない範囲内において払込済出資額に応じてしなければならない。」と定められている。さらに同法59Ⅲにおいて、「企業組合にあっては、前項の規定にかかわらず、剰余金の配当は、定款の定めるところにより、年二割を超えない範囲内において払込済出資額に応じてし、なお剰余があるときは、組合員(特定組合員を除く。)が企業組合の事業に従事した程度に応じてしなければならない。」と規定されている。配当可能剰余金の計算では、まず当期純利益(繰越損失がある場合にはこれを控除した金額)から、準備金と教育情報費用繰越金の積立額を控除し、さらに定款で定める特別積立金を差し引いた金額となる。
(高橋史郎)