ノンプロフィット・セクター

 行政機関や公的企業からなる公共セクター、営利企業からなる企業セクターに対して、民間非営利組織からなるセクターをいう。公共セクターにも企業セクターにも当てはまらない民間非営利組織の活動の興隆を背景に、民間非営利組織の経済活動が一国経済全体に占めるウェイト(民間非営利組織の従事者数や生産規模、収入・支出など)をマクロ的に示す必要性が高まり、ひとまとまりにノンプロフィット・セクターとして把握されるようになった。公共セクターや企業セクターと比較すると、ノンプロフィット・セクターにおいては、収入の内訳のなかで寄付・補助金・行政委託収入が重要な意味をもつこと、ボランティアの経済価値をどのように計測するかが論点となること、などの特徴がある。ジョンズ・ホプキンス大学の研究プロジェクトは1990年代にノンプロフィット・セクターの国際比較を行うための定義を示した。それによると、ノンプロフィット・セクターに含まれる組織は、①制度化された組織(formal)、②民間(private)、③ 利益非分配(non-profitdistributing)、④自己統治(self-governing)、⑤自発性に基づく組織(voluntary)の5つの要件に当てはまるものとされた。また、①宗教的集会、②政党、③協同組合、④相互貯蓄銀行、④相互保険会社、⑤政府機関は含まないとされた。「公益目的」であることも重視されており、ノンプロフィット・セクターとは「民間公益非営利組織」のまとまりと理解でき、日本の法人制度のもとでは、特定非営利活動法人(NPO法人)だけにとどまらず、民間で公益の非営利組織が広く含まれる。具体的には、公益社団・財団法人、社会福祉法人、学校法人、医療法人、特定非営利活動法人(NPO法人)などが当てはまる。さらに、ボランティア活動や市民活動を行う任意団体も含んで扱われることもある。
(橋本 理)