ノーマライゼーション

 障害者や高齢者、児童など、すべての人が障害の有無にかかわらず同等に人間として尊重され、他の人々と同じ権利を保障されながら、住み慣れた地域社会で生活することが当たり前とした考え方である。そのため、社会的に不利に陥っている者が変わるという視点ではなく、その者を取り巻く社会の捉え方が変化することによって、ノーマライゼーションの概念がノーマルになる社会を実現していくことに視点を置いている。ノーマライゼーションという用語は、1950年代にデンマークのBank-Mikkelsen, N.E.(バンクミケルセン)が最初に唱えた造語である。その後、スウェーデンのNirje, B.(ニィリエ)へと継承され「知的障害者の日常生活の様式や条件を社会の普通の環境や生活方法にできるだけ近づけることを意味する。」と主張した。1960年代には、ノーマライゼーションの考え方は北欧諸国など世界各国へと国際的に普及していった。現在では、障害者福祉を支える理論の1つとして適用されるにとどまらず、児童福祉や高齢者福祉、地域福祉にも適用されるなど社会福祉を支える理念として一般的になっている。
(小口将典)