認定特定非営利活動法人

 認定NPO法人制度は、運営組織および事業活動が適正であり、一定以上の寄附金収入があるなどの条件を満たす特定非営利活動法人(NPO法人)に対し、税制上の優遇措置を与えることによって、NPO法人への寄附を促すことを目的として設けられた制度である。全国のNPO法人数は、令和元(2019)年11月末現在で51,439、このうち認定(特例認定を含む。)は、約2.2%の1,125である。認定NPO法人制度は、認定申請時に直近の過去2事業年(実績判定期間という。)における事績で判断される点が、公益法人の公益認定制度とは大きく異なる。認定制度が始まった平成15(2003)年4月以降、国税庁長官が認定を行っていたが、平成23(2011)年法改正により平成24(2012)年4月1日から所轄庁(都道府県と政令市等)が認定を行う新たな認定制度になった。同時に、設立後5年以内のNPO法人を対象とする、仮認定NPO法人制度も導入した。なお、平成28(2016)年法改正により、平成29(2017)年4月1日から、仮認定特定非営利活動法人は、特例認定特定非営利活動法人(特例認定NPO法人)という名称に改められた。認定基準は、実績判定期間における以下の8つの要件に分かれている。①寄附要件(パブリックサポートテスト、PST:Public Support Test)、② 共益的活動への支出割合が総事業費の50%未満、③組織運営が適切であること(役員要件他)、④事業活動が一定の基準を満たしていること(宗教、政治等の活動がないこと等)、⑤情報公開が適切であること、⑥事業報告書等を法定期日までに所轄庁に提出していること、⑦法令違反がないこと、⑧設立の日から1年を超えていること。
 認定による税制優遇は、①寄附をした個人の寄附金控除:所得税と住民税で適用可能、税額控除と所得控除の選択適用、②寄附をした法人への法人税の寄附金損金算入限度額の特別枠の適用が可能、③遺贈や相続財産による寄附金の相続税非課税、④みなし寄附金制度の適用による認定NPO法人自身の法人税・住民税の軽減である。特例認定NPO法人は、設立後5年以内のNPO法人のうち、認定基準の要件から寄附要件を免除し、それ以外の要件に適合すれば、税制上の優遇措置を3年間1回にかぎり受けることができる。特例認定NPO法人は、相続税の非課税、みなし寄附金制度の適用は受けられないが、寄附をした個人の寄附金控除、法人税の損金算入特別枠の適用が可能である。
(早坂 毅)