認可主義

 第三者の行為を行政が認可することで、法的な効力をもつようにすることである。身近な例をあげると、保育所のうち、自治体に申し込んで入所する保育所は、設備や保育士の配置などについて、国の定めた基準に合致していると都道府県などが認めて認可された認可保育所である。認可保育所では、保育士の給与や設備の拡充にかかる費用のほとんどが自治体からの補助等で賄われるが、補助要綱等で、認可保育所であることを条件にされることが多い。その場合、無認可の保育所が国の定める認可の基準を充たしていたとしても、実際に認可を受けていなければ、補助等を受けることはできない。日本では、法人の設立は法の規定によって行われる。それがどのような規律に従って設立されるのか、設立に関する規制の厳しい順に、特許主義、許可主義、認可主義、認証主義、準則主義等に区分されている。特許主義は、日本銀行など特別法に基づく法人に関するものであり、それを除くと、認可主義は、許可主義に次いで、設立に関する規律が厳しいものと分類される。許可主義のもとでは、許可するかしないかについても、行政の裁量に任されていることに比べ、認可主義の場合、個別的な内容の検証は必要であるものの、要件に合致すれば、行政は認可する必要がある。認可により設立できる非営利法人としては、地方独立行政法人、社会福祉法人、医療法人、学校法人、協同組合などがあげられ、多くの非営利法人は認可により設立が可能といえる。
(石川千晶)