内部取引消去

 会計区分を有する場合に、会計区分間で行われた取引について相殺消去することである。内部取引消去に関しては、公益法人会計基準第1総則4会計区分の注解2(内訳表における内部取引高等の相殺消去について)において、以下のように規定されている。「当該公益法人が有する会計区分間において生ずる内部取引高は、正味財産増減計算書内訳表において相殺消去するものとする。また、公益法人が会計区分を有する場合には、会計区分間における内部貸借取引の残高は、貸借対照表内訳表において相殺消去するものとする。」すなわち、会計区分間の取引があるときは、正味財産増減計算書内訳表において内部取引高を相殺消去する。一時的な資金不足を補うための会計区分間の貸借や、他の会計区分に対する一時的な立て替えや未払などを処理する「他会計貸借」勘定があるときには、貸借対照表内訳表において内部取引消去により相殺消去することになる。内部取引の相殺消去の必要性は、連結財務諸表の作成の際に二重計上を避けるためである。この相殺消去の典型的な類型として、平成27(2015)年1月総務省資料「連結財務書類作成の手引」では以下の7項目をあげている。①投資と資本の相殺消去、②貸付金・借入金等の債権債務の相殺消去、③補助金支出と補助金収入(取引高の相殺消去)、④会計間の繰入れ・繰出し(取引高の相殺消去)、⑤資産購入と売却の相殺消去(取引高の相殺消去)、⑥委託料の支払いと受取り(取引高の相殺消去)、⑦利息の支払いと受取り(取引高の相殺消去)である。相殺消去の作業はつぎのような流れで行う。ⅰ)すべての連結対象団体が「内部取引調査票」を記入し、連結内部の取引を洗い出す、ⅱ)連結対象団体の「内部取引調査票」を相互に突合し、連結内部の取引を確定する、ⅲ)確定した取引を「相殺消去集計表」に転記し、相殺消去すべき合計額を算定する、ⅳ)その総合計額を連結精算表の「相殺消去」の欄に転記し、純計処理を行う。
(村井秀樹)