内部相互補助

 ある活動を実行することによって生じる損失を、同一主体が行う別の活動ないし商品・サービスの提供からえた利益で補塡している状態をいう。非営利組織においては、受益者との交換取引が発生しにくい構造となっていることから、非営利活動のための必要十分な収益を確保することは一般に困難を伴うため、収益をえやすい事業を同時に行い、そこから生じた超過利潤をもって当該非営利活動の財源とすることがしばしば行われる。たとえば、高齢者を対象としたパソコン教室を無償で提供するという非営利活動を行う場合に、同時に一般向けの教室を有料で開講して、その収益の一部を高齢者向け教室の運営財源に充当している場合に、両者は内部相互補助の状態にあるといえる。より広義には、学校法人等において大きな設備投資が必要となる医歯薬系学部で発生する赤字を、基本的に設備を必要としない経営系学部で発生する黒字で補塡している場合や、医療法人等において産婦人科医院の医業収益により産後ケアや病児保育事業を運営している場合などがあげられる。
(坂元英毅)