内国歳入庁(米)

 アメリカ政府における国家としての租税歳入を司る部局であり、アメリカ連邦議会によって立法化された内国歳入法(IRC)を執行する組織である。IRCは、アメリカにおける合衆国法典第26編(U.S. Code Title 26)に編纂された法律である。ある組織が連邦所得税について課税免除の地位をえて免税組織となるには、つぎに掲げる申請書を内国歳入庁に提出し、同庁の承認をえなければならない。 IRC501(c)(3)の適用を受けようとする場合は、様式1023(または様式1023-EZ)、IRC501(c)(4)の適用を受けようとする場合は、様式1024-Aおよび様式8976(IRC501(c)(4)に定めた活動を行う場合)、それ以外の場合は、様式1024である。 免税組織が、毎年の提出義務を有する様式990や届出書を3年間連続して提出しなかった場合、法律の規定により、免税組織が有する課税免除の地位は自動的に撤回される。納税者が免税組織に対して慈善寄附を行った場合には、寄附を行った納税者において所得控除することができるため、免税組織の地位は公表されており、納税者は免税の地位をいつでも確認することが可能である。
 上記の手続きは、原則として、毎年1月31日までに電子申請により行わなければならない。なお、内国歳入庁は、様式1023を紙媒体により提出することも認めており、書類の提出期限について90日間の猶予期間を付与している。IRC501(c)(3)等の規定に基づいて課税免除の適用を受けるのは、連邦所得税に係る部分だけである。そのため、連邦所得税の課税免除の地位を獲得した免税組織は、その地位を受領した後、その組織が資産を有するすべての州、または寄附金を勧誘しようとするすべての州政府に登録を行わなければならない。さらに、州税における課税免除の地位をえるには、州政府に対して課税免除の申請を行い、承認を受ける必要がある。州公益事務全国協会(NASCO)は、ウェブサイトにおいて、各州における課税免除のための情報を提供している。
(神山直規)