特掲34業種

 公益法人等に対する法人税は、各事業年度の所得のうち収益事業から生じた所得についてのみ課税することとしている。この収益事業の範囲(法人税法施行令5Ⅰ)は、①物品販売業、②不動産販売業、③金銭貸付業、④物品貸付業、⑤不動産貸付業、⑥製造業、⑦通信業、⑧運送業、⑨倉庫業、⑩請負業、⑪印刷業、⑫出版業、⑬写真業、⑭席貸業、⑮旅館業、⑯料理店業その他の飲食店業、⑰周旋業、⑱代理業、⑲仲立業、⑳問屋業、㉑鉱業、㉒土石採取業、㉓浴場業、㉔理容業、㉕美容業、㉖興行業、㉗遊技所業、㉘遊覧所業、㉙医療保健業、㉚技芸教授業、㉛駐車場業、㉜信用保証業、㉝無体財産権の提供等業、および㉞労働者派遣業とし、34事業(その性質上その事業に付随して行われる行為を含む)を限定列挙していることから、「特掲34業種」という通称が使用されている。公益法人等に適用されている収益事業課税は、法人税法の一部を改正する法律(昭和25年法律第72号)の成立によりスタートしたものであり、当時課税対象とする収益事業の範囲について、主として民間営利法人との競合関係の事業を特掲して課税の均衡を図るという観点から、昭和22(1947)年において廃止した旧営業税(現在の事業税)の課税対象とされていた29業種が、そのまま法人税法にも採用されたことを起点とする。その後、収益事業の範囲は、民間営利法人の経済活動の変化および公益法人等の行う事業内容の変化などに応じて、数次にわたる改正により課税対象事業が加えられ、直近では公益法人制度改革に伴う平成20(2008)年度公益法人関係税制の見直しが行われた同年度の税制改正で「労働者派遣業」が追加されたことにより、現行の特掲34業種を列挙するに至っている。
(苅米 裕)