独立行政法人

 各府省の行政活動から政策の実施部門のうち一定の事務・事業を分離し、これを担当する機関に独立の法人格を与えて、業務の質の向上や活性化、効率性の向上、自律的な運営、透明性の向上を図ることを目的として設立された法人をいう。独立行政法人通則法2Ⅰにおいて、「この法律において『独立行政法人』とは、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は一の主体に独占して行わせることが必要であるもの(以下この条において『公共上の事務等』という。)を効果的かつ効率的に行わせるため、中期目標管理法人、国立研究開発法人又は行政執行法人として、この法律及び個別法の定めるところにより設立される法人をいう。」と定義されている。中期目標管理法人は、国民の需要に的確に対応した多様で良質なサービスの提供を通じた公共の利益の増進を推進することを目的とした法人であり、主務大臣が策定した中期目標に基づいて中期計画を作成し、主務大臣の認可を受けることとされている。また、毎事業年度の開始前に、中期計画に基づいて年度計画を定め、主務大臣に届け出ることとされている。国立研究開発法人は、日本における科学技術の水準の向上を通じた国民経済の健全な発展その他の公益に資するため研究開発の最大限の成果を確保することを目的とした法人であり、主務大臣が策定した中長期目標に基づいて中長期計画を作成し、主務大臣の認可を受けることとされている。行政執行法人は、公共上の事務等を正確かつ確実に執行することを目的とした法人であり、主務大臣が策定した年度目標に基づいて事業計画を作成し、主務大臣の認可を受けることとされている。なお、この行政執行法人は、造幣局など7法人であり、その役職員は、国家公務員とされている。独立行政法人の業務運営は、このように主務大臣が策定する目標に基づき、各法人の自主性・自律性のもとに行われるとともに、事後に主務大臣がその業務実績について評価を行い、業務・組織の見直しを図ることとなる。また、政府唯一の第三者機関として設置されている独立行政法人評価制度委員会によって、主務大臣による目標策定、評価や業務・組織の見直しはチェックされ、特に必要があると認められるときには、内閣総理大臣に対して意見具申を行うなどの仕組みとなっている。なお、独立行政法人は、独立行政法人等の保有する情報の一層の公開を図り、独立行政法人等の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とした「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」(平成13年法律第140号)に基づく情報開示義務を負っている。
(中野佑一)