特別会計(公益社団・財団法人)

 特定の目的をもって一般会計とは別に経理するために設けられた会計単位(会計区分)のことである。平成16(2004)年改正後の公益法人会計基準(16年基準)において、公益法人は、特定の目的のために特別会計を設けることができるとされる(16年基準第1・4)。16年基準では、特別会計の設置は、各法人の任意であるので、定款や経理規程等で具体的に定める必要がある。特定の目的としては、法人内部の事情に基づくものと、法人外部の事情に基づくものがある。前者の例として、将来の臨時的な多額の支出に備えるために設定される会館建設特別会計や周年事業特別会計、特定の資金管理のために設定される退職給与積立金特別会計、特定の財産管理のための基本財産管理特別会計などがある。後者の例として、税法上の収益事業に対して設置する収益事業特別会計、資金提供者の要望により設置する補助金事業特別会計や委託事業特別会計がある。特別会計を設置した場合は、法人全体の財政状態および正味財産増減の状況を開示するため総括表を作成することが求められる(16年基準第2・4、第3・4)。このように特別会計を設定した場合、作成すべき財務書類が増大し、事務処理が増大することから、特別会計の設定にあたっては、効果とコストを比較考量しながら判断することが求められる。
 現行の公益法人制度においては、収益事業等は公益目的事業から区分して経理することが求められている(公益認定法19)。公益法人については、公益認定申請および事業報告にあたって、事業の実態等から類似、関連するものを適宜まとめたものを事業単位とすることとされており、財務書類の会計区分は事業報告との対応関係が分かるように整理されている必要がある。公益目的支出計画実施中の移行法人についても、公益目的支出計画実施報告書と財務書類の会計区分の対応関係が分かるようにする必要がある。平成20(2008)年設定の公益法人会計基準では、法令の要請等により、必要と認めた場合には会計区分を設け(公益法人会計基準第1・5)、会計区分ごとの情報は、貸借対照表内訳表および正味財産増減計算書内訳表において表示することとされた。
(西村拓哉)