特殊法人

 特殊法人に関する法令上の定義は存在せず、特殊法人等改革基本法(平成13年法律第58号)(基本法)の別紙に定めるもの(129法人)を特殊法人等と称することとされていた。通説としては、特殊法人とは行政の事務・事業の実施機関として、行政自らが実施するより効率的・効果的だとされたもの等について、法人の設置根拠法によって唯一の法人組織が設立されることをいう。特殊法人については、平成12(2000)年12月1日に閣議決定された「行政改革大綱」および基本法に基づき、新たな時代にふさわしい行政組織・制度への転換を目指して、「民間に委ねられるものは民間に委ね、地方に委ねられるものは地方に委ねる」ことを基本原則に、すべての特殊法人等の事業・組織全般について廃止・民営化を含めた抜本的な改革に取り組むこととされた。具体的には、特殊法人等については、設立目的が達成され存在意義が薄れている、民間事業者と類似の業務を行い国としての関与の必要性に乏しい、国からの巨額の財政支出を縮減効率化する必要がある等の指摘がされ、平成9(1997)年12月3日の行政改革会議最終報告において、中央省庁等改革の柱の1つとして、独立行政法人を創設する旨の提言がなされた。これを受けて中央省庁等改革基本法(平成10年法律第103号)において独立行政法人の基本法となる独立行政法人通則法が公布された。これらの流れを受け、特殊法人等の集中的、抜本的な改革を推進することを目的に基本法が公布され、「特殊法人等整理合理化計画」が定められ全特殊法人について事業を徹底的に見直し、組織形態について廃止・民営化等を行うことを基本とされた。ただし、これら特殊法人の事務・事業のなかで、廃止または民営化できないものであって、国の関与の必要性が高く、採算性が低く、業務実施における裁量の余地が認められる事業を行う法人については、事業の徹底的な見直しを行ったうえで、独立行政法人化するとされた。
(千葉正展)