統一的な基準(会計)

 統一的な基準(会計)は、総務省から平成27年1月に、各都道府県知事、各指定都市市長宛に発出された「統一的な基準による地方公会計の整備促進について」の通知において適用することが求められている地方公会計の基準である。地方公会計については、これまで各地方公共団体において、決算統計を利用する「総務省方式改訂モデル」、開始貸借対照表の作成を求める「基準モデル」や「東京都方式」等を用いて財務書類の作成・公表等に取り組まれてきていた。しかし、人口減少・少子高齢化が進展しているなか、財政のマネジメント強化のため、地方公会計を予算編成等に積極的に活用し、地方公共団体のかぎられた財源を「賢く使う」取り組みを行うことは極めて重要であるとして、平成26年4月30日に固定資産台帳の整備と複式簿記の導入を前提とした財務書類の作成に関する統一的な基準を示したところである。その後、今後の新地方公会計の推進に関する実務研究会」を設置して議論がすすめられ、平成27年1月23日に「統一的な基準による地方公会計マニュアル」が取りまとめられ、当該マニュアルにおいては、統一的な基準による財務書類の作成、手順や資産の評価方法、固定資産台帳の整備手順、連結財務書類の作成手順、事業別・施設別のセグメント分析をはじめとする財務書類の活用方法等が示された。先述の「賢く使う」を目的として、現金主義・単式簿記だけでは見えにくいコスト情報・ストック情報の見える化と財政マネジメント等への活用が有効であり、現金主義・単式簿記による予算・決算制度を補完するものとして、これまでの複数のモデルを統一する方向性で貸借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書および資金収支計算書等の財務書類の開示を推進している。当該マニュアルに従い、統一的な基準による財務書類等を原則として平成27年度から平成29年度までの3年間ですべての地方公共団体において作成し、予算編成等に積極的に活用することが要請された。なお、統一的な基準による財務書類等を作成するためには、ノウハウを修得した職員の育成やICTを活用したシステムの整備が不可欠であるとして、平成27年度には関係機関における研修の充実・強化が図られ、また一定の経費については、特別交付税措置を講じることとされた。このような発生主義・複式簿記による財務書類の作成、開示の普及により地方公共団体の厳しい財政状況の中で、財政の透明性を高め、住民に対する説明責任をより適切に果たすとともに、財政の効率化・適正化を図ることが期待されているものとなっている。
(松前江里子)