出来高払い

 細分化された一つひとつの医療行為ごとに点数を設定し、それらを合算する算定方法のことである。包括支払いの場合、医療機関からみると、どれだけ診療行為を実施しても収益は変わらないため、診療行為が少ないほど収益が増えることになる。その結果、医療ニーズが高い患者に必要な医療資源が投入されないと粗診粗療となるおそれがあることや、患者の選別、先進的な医療行為を実施する際の阻害要因になるデメリットがあるといわれている。出来高払いは、医療行為を行った場合、そこで発生した医療費を合計して病院側が請求し、一部は患者から、残りを社会保険組合や国が支払う制度である。実際にかかった費用から計算と計算が複雑になるため、診療報酬によりすべての行為について点数が定められている。従って、医療機関側からみると、医療行為を行った際、その行為にかかった費用の総和が支払われるため、必要な医療を提供しやすい行為を行いやすくなるほか、患者側からみると、十分な医療行為を受けたいという要求に応えられるメリットがある。また、保険者側からみると、医療行為と診療内容の料金については、治療費の明細をみれば、医療行為による対価が明白となるメリットがある。一方、出来高払い方式の問題点として、診療行為をすればするほど収益が生まれることとなるため、非必要な診療行為などの過剰医療に繋がり、患者に対する倫理面におそれがあるほか、医療費の増大に繋がるおそれがあるといわれている。
(上村知宏)