DPC

 Diagnosis Procedure Combinationの略で、診断群分類包括評価であり、診療群分類に基づく包括支払制度のことである。診断群分類は、医療の質的改善を目指して開発された診断群分類の一種であり、アメリカで開発された診断群分類は、DRG(Diagnosis RelatedGroup)と呼ばれている。日本においては、導入に向けた検討が行われた後、平成15(2003)年にDRGの考え方をもとに導入された。DPC=包括支払いと認識されがちであるが、DPCはあくまで診断群分類の一種であり、1人当たり、1入院当たりの包括支払い制度を意味しない。従って、支払制度としての略称は、平成22(2010)年よりDPC/PDPSと整理されている。日本における診断群分類は、もっとも医療資源を投入した傷病名(主傷病)により分類した後、診療行為等により分類する構造となっている。傷病名は国際疾病分類(ICD10)、診療行為等については、診療報酬上の区分で定義されている。また、すべての診断群分類に対して「診断群分類番号」(DPCコード)が割り振られており14桁で表示される。数字の代わりに「x」とある場合は「該当なし」を意味する。以下は、各桁に決められた定義を左から順に記載する。
 ①1〜2桁目:主要診断群/MDC2桁コード、②3〜6桁目:もっとも医療資源を投入した傷病名(主傷病)の4桁分類コード、③7桁目:入院目的(平成18[2006]年4月改定より未使用:x該当なし)、④8桁目:特定の条件、⑤9〜10桁目:手術情報、⑥11〜12桁目:手術・処置等の有無1、2、⑦13桁目:副傷病の有無、⑧14桁目:重症度等の有無。
 DPC算定病院における報酬構成は、診断群分類による包括評価、出来高評価(従来からの医科点数表に基づく算定)、入院時食事療養費となっているが、包括評価の範囲は、おもにホスピタルフィー的要素となっており、ドクターフィー的要素は対象外となる。そのうち、診断群分類による包括評価については、「診断群分類点数表」をもとに以下の式で算定される。
 ①診断群分類による包括評価=診断群分類ごとの1日当たり包括点数×入院日数×医療機関別係数×10円
 なお、包括評価対象と包括対象外(出来高部分による)の範囲は以下のとおり。 ①包括評価対象となる範囲:入院基本料(一部の加算は出来高)、短期滞在手術等基本料(2、3のみ)、医学管理等(手術前医学管理料、手術後医学管理料のみ)、検査(一部は出来高)、画像診断(一部は出来高)、投薬・注射(一部は出来高)、リハビリテーション(薬剤料のみ)、精神科専門療法(薬剤料のみ)、処置(一部は出来高)、病理診断(一部は出来高)。②医科点数表により算定する点数(出来高部分):初診料、再診料・外来診療料(時間外加算等のみ)、入院基本料(一部の加算のみ)、入院基本料等加算(データ提出加算は機能評価係数Ⅰとして評価)、特定入院料、短期滞在手術等基本料(1のみ)、医学管理等(手術前医学管理料、手術後医学管理料以外)、在宅医療、検査(一部のみ)、画像診断(一部のみ)、投薬・注射(一部のみ)、リハビリテーション(薬剤料以外)、精神科専門療法(薬剤料以外)、処置(一部のみ)、手術・麻酔・放射線治療、病理診断(一部のみ)。
 また、医療機関別係数については、以下の内容で構成されている。  ①基礎係数:医療機関群別に、医療機関の基本的な診療機能を評価したもの。大学病院本院群(旧Ⅰ群)、DPC特定病院群(旧Ⅱ群)、DPC標準病院群(旧Ⅲ群)に区分されている。②機能評価係数Ⅰ:病院の人員配置や施設全体として有する体制など、ストラクチャー(構造的因子)を評価する係数で、入院基本料等加算などの医科点数表の出来高点数を係数化したもの。③機能評価係数Ⅱ:DPC対象病院に対するインセンティブや、地域において担うべき役割および機能等を評価する係数。④暫定調整係数:調整係数の段階的廃止過程において暫定的に設定された係数。
 なお、暫定調整係数については、平成24(2012)年度から行われてきた暫定調整係数から基礎係数および機能評価係数Ⅱへの置き換えが平成30(2018)年度に完了したため、現在は、基礎係数と機能評価係数の合計が医療機関別係数となっている。ただし、病院の安定運営のために、推計診療報酬変動率が±2%を超える病院は、改定年度にかぎり激変緩和係数が設定される。ただし、置き換えが完了したことで、評価の比重が大きくなる機能評価係数Ⅱの再整理が実施されたことで、平均的な診療実態から大きく外れるDPC対象病院の存在が出ており、対象病院の基準や退出ルールの見直しが課題になることが想定されている。
(上村知宏)