調整公益目的財産残額

 移行日における修正公益目的財産残額と簿価純資産額のいずれか少ない金額(当初調整公益目的財産残額)から適用事業年度前の各事業年度の支出超過額の合計額を減算し、これに当該適用事業年度前の各事業年度の収入超過額の合計額を加算した金額をいう(法人税法施行令131の5Ⅶ)。公益法人等が普通法人に該当することになった場合において、公益認定法の規定により公益認定を取り消されたことにより普通法人に該当することとなった法人または医療法に規定する実施計画に係る同項の認定を受けた医療法人である場合には、修正公益目的財産残額を累積所得金額から控除し、または累積欠損金額に加算する(法人税法64の4Ⅲ)。なお、修正公益目的財産残額とは、以下の金額をいう。 修正公益目的財産残額=公益目的取得財産残額+公益目的収支差額の収入超過額+時価評価資産の評価損-時価評価資産の評価益 (法人税法施行令131の5Ⅰ③イ、法人税法施行規則27の16の4Ⅰ)  これは公益目的財産残額については、税務上の修正をしたうえで、累積所得金額から控除することで課税が行われないようにする調整である。ただし、当初調整公益目的財産残額がある場合には、支出超過額または収入超過額は損金の額または益金の額に算入しない(法人税法施行令131の5Ⅴ、Ⅵ)。公益目的支出の額とは、実施事業の事業費の額、特定寄附の額および経常外費用の額の合計額をいい(整備法119Ⅱ①、整備法施行規則16)、実施事業収入の額とは、実施事業の収入の額と実施事業資産から生じた収入の額の合計額をいう(整備法119Ⅱ②、整備法施行令17)。このように、調整公益財産残額とは、公益目的支出と実施事業収入の額の累計額を課税所得の計算から除外するように調整した公益目的財産残額を指す。
(神保 集)