(齋藤真哉)
中小企業等協同組合会計基準
中協法および中小企業団体の組織に関する法律(昭和32年法律第185号)、商店街振興組合法(昭和37年法律第141号)を根拠とする各種組合を対象とした組合会計については、それぞれの法律の施行令により規定が設けられている。しかしそれら施行令の規定には含まれていない組合特有の会計処理等について、昭和27(1952)年10月に中小企業庁により「中小企業等協同組合経理基準」が制定された。その後、継続的に政府指定事業の一環として全国中小企業団体中央会においてその内容の一部改訂が行われてきたが、平成13(2001)年11月の改訂時に「中小企業等協同組合会計基準」(組合会計基準)に表題が変更された。そして平成18(2006)年5月に新たな会社法が施行されことに伴い、それまで商法に準拠規定をもつ中協法も改正された。中協法では、正確な会計帳簿の作成や決算関係書類・事業報告書の作成に関する規定のほか、第56条の6で「組合の会計は、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする。」という包括的規定も新たに設けられた。それに合わせて、中協法施行規則も全面的な改正が行われ、組合会計に関する諸規定は会社計算規則を基に新設され、平成19(2007)年4月に施行された。中協法施行規則に会計処理等に関する諸規定が新設されたことに応じて、組合会計基準も平成19年8月に、勘定科目、決算関係書類の様式、事業報告書の様式等の見直しを中核に改訂された。当該改訂後の組合会計基準は、総論、勘定科目、事業報告書と決算関係書類、事業計画と予算関係書類、個別会計基準、管理会計、監査制度の全7章から構成されている。平成19年改訂では、資本の部を純資産の部へと変更することのほか、金融商品の時価評価や固定資産の減損等といった企業会計で適用される会計処理についても導入したことが大きな特徴である。共益性の高い組織である各種組合の会計について、企業会計の影響が及んでいるといえる。