地方独立行政法人会計基準

 地方独立行政法人の会計処理は原則として一般に公正妥当と認められる企業会計の原則に従う。しかしながら、企業会計の原則は営利企業を前提としたルールであるため、これをそのまま営利を目的とせずに公的な資金が注入される法人に適用することは適当ではない。そこで公的資金の使途を適切に表現できるように必要な修正を加えたものが独立行政法人会計基準であり、さらに地方独立行政法人の特性に合わせて追加修正を加えたものが地方独立行政法人会計基準である。この会計基準は、地方公共団体から負託された資源の活用状況に関する説明責任を果たし、法人業務が効率的、効果的に実施されるための業績評価に資すると同時に、原則として独立採算制を前提としない損益均衡の制度設計という地方独立行政法人の特性をあらわすことができるようにつくられた会計基準である。「地方独立行政法人会計基準及び地方独立行政法人会計基準注解」は平成16(2004)年3月24日に総務省告示221号として設定されたのち、平成29(2017)年度に2度、平成30(2018)年度に1度の改訂が行われている。地方独立行政法人会計基準では企業会計にみられない運営費交付金や運営費負担金(公営企業型のみ)、補助金等の固有の会計処理がある。また固定資産の会計処理についても、取得財源別に区分してそれぞれの勘定科目(資産見返勘定)による会計処理、財源受入時の収益化ではなく業務進行に伴い収益化して減価償却費と対応させる収益計上方法や、業務の対価として収益獲得が予定されない固定資産の取得費を損益計算の対象としない(損益外処理)など、特有な扱いが定められている。さらに住民等が負担するコスト(税財源で賄うことになる法人運営コスト「行政サービス実施コスト」)を計算することも大きな特色である。
(東葭 新)