地域包括支援センター

 地域包括支援センターは、平成17(2005)年の介護保険法改正で定められた、地域包括ケアの体制を支える地域の中核機関である。高齢者の保健・医療の向上および福祉の増進を包括的に支援することを目的とする(介護保険法115の46Ⅰ)。保健師、主任介護支援専門員、社会福祉士等が配置され、3職種のチームアプローチが期待されている。おもな業務は高齢者の介護予防ケアマネジメント業務、総合相談支援業務、権利擁護業務、包括的・継続的ケアマネジメント支援業務等である。地域包括支援センターはすべての保険者に設置される。法律上の設置主体は市町村であるが、外部委託も可能であり、約7割は業務委託により社会福祉法人や医療法人が運営している。設置の目安としては人口2万人から3万人に1か所設置される。地域包括支援センターの設置運営に関しては、市町村が事務局となり、地域のサービス事業者、関係団体、被保険者の代表等により構成される「地域包括支援センター運営協議会」が関与する。平成30(2018)年度の介護保険法の一部改正により、市町村と地域包括支援センターは、「実施した事業に対する評価の実施」と「必要な措置」を講ずることが義務化された。地域包括ケアシステムが高齢者だけではなく全世代を対象にする必要性が指摘されるなか、世田谷区の地域包括支援センターが高齢者だけではなく、障害のある人、子育て中の人なども対象とした相談窓口となっているなど、近年は地域包括支援センターもその対象を高齢者に加えて、さまざまな対象者へ拡大させる取り組みもしつつある。
(松原由美)