地域共生社会

 従来の制度・分野別による対象者を絞った支援や、支援の支え手・受け手という固定的な役割に基づいた関係性を超えた、より多分野にまたがる包括的支援の実施と、人と人が主体的に支え合い、誰もが安心してともに地域で生活できる社会を指す。このような地域共生社会が目指されるようになった背景には、高齢化や科学の発展によるネットの普及など、さまざまな要因により地域住民同士や家族間における助け合いが困難になってきたことがあげられる。厚生労働省は、地域共生社会の実現を目指し、「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28[2016]年閣議決定)や、「『地域共生社会』の実現に向けて(当面の改革工程)」(平成29[2017]年厚生労働省「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部決定)に基づき、4つの柱を骨格として掲げて改革をすすめている。1つめの柱は、地域課題の解決力の強化であり、改正社福法(平成30[2018]年4月1日施行)において市町村が包括的な支援体制づくりに努めることなどが規定された。2つめは、地域丸ごとの繋りの強化であり、高齢者の健康づくりや子どもへの支援事業など、保健福祉分野における社会的事業の開発・普及への取り組みがあげられる。3つめは、地域を基盤とする包括的支援の強化であり、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律(平成17年法律第77号、平成30年4月1日施行)により、高齢者と障害児者がサービスを受けやすくなるよう共生型サービスの創設などを行った。4つめは、専門人材の機能強化・最大活用であり、福祉系国家資格養成課程が見直された。
(酒井美和)